北朝鮮関連その2 北朝鮮へ経済制裁をすることは、かえって戦争への動機を高めかねないことについて
- 2016/08/03
- 19:18
北朝鮮への対応について、もう一つの本「21世紀の戦争と平和」孫崎享著2016年6月 から、一部示します。(P259等より)
経済的制裁で(北朝鮮の)独裁政権が倒れることはありません。皮肉なことですが逆に政権を強くします
(経済制裁が行われると)全体主義国家では、食べ物を確保することにすら、政権への忠誠度がますます影響するようになるでしょう。
例えば、太平洋戦争中の日本経済は極度に困窮しましたが、作家や画家は、政権礼賛、戦争礼賛をしないと画材が手に入りませんでした。
経済が困窮すれば、(国のしめつけが増し)なんでもない物資の調達にさえ(国民の)イデオロギーへの服従がむしろ浸透してしまうのです。
(また、イラン・イラク戦争時は両国が、戦争を口実 に政敵を粛正していた例を挙げ)戦争状態が続いていることすら、政権にとって有利なのです。
北朝鮮を見ればまさにそうです。西側諸国の制裁が強まるほど、人民は生活を維持するために政権支持を表明しなければなりま
せん。そして、政治的に反対する者を、国難の中で反逆者として処刑することも簡単です。これが、いま北朝鮮で起こっていることではないでしょうか。
(抜粋以上ですが、これからすると、北朝鮮を孤立させず、経済的に巻き込みながら、緊張緩和の方向にもっていくことが、戦争をさ
せないためには有効ということになります。戦前の日本が戦争した大きな要因は、貧窮や諸国の経済制裁だったと言われます。)
拉致問題の解決について
また、アフリカやアフガンで長年、紛争解決に長年携わり、紛争を熟知する伊勢崎賢治さんも、上記と似たような形で、経済制裁では埒があかないことや他の交渉方法を書いていましたので、示します。
「新国防論」という本から。P150などより(括弧はこちらの付記です)
(拉致問題が)政治に翻弄される今の状況が続くと、拉致被害者の家族の皆さんの寿命が尽きてしまいます。なんとか現在の袋小路を打開しなければなりません。
北朝鮮の核・ミサイル問題に神経をとがらせているアメリカを刺激しないように配慮しつつ、(米中韓と)経済制裁の足並みをそろえながらも、日本が「人権」の王者に見せかけ、北朝鮮自身の人民を救う人道支援のリーダーシップを取る。この手があると思います。
これによって北朝鮮の懐に入り、拉致問題解決の突破口にするのです。人道支援ならアメリカも文句は言えません。
(人道救助を他国と共に表明すれば、なかなか「やめなさい」と言いにくいと思います。人道救助(人道支援)とは
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%BA%E9%81%93%E6%8F%B4%E5%8A%A9
そして、「拉致被害者を全員返せ」という強硬なスタンスではなく、「真実の究明」に向けて、交渉のハードルを一つ下げるのです。
「過去のことで北朝鮮首脳部を罪に問わない。その代わりに、一緒に真相を究明しましょう」-その過程で、生存者の発見と帰還という実益を目指す。
経済制裁という「報復」がなんの解決にもならないとしたら、対話の場を作るしかありません。
「拉致被害者を取り返すための制裁」から「真実を究明するための交渉再開」、「真実を究明するための国交正常化」へ、対策のパラダイム変換を図る。 そして、「拉致問題は過去の問題なので、現在の政権の責任は不問にする」という形で北朝鮮のメンツを立てる。
そうして一緒に真相究明の調査をしていけば、北朝鮮側が新情報を提示してくれる可能性は確実に高まります。
「改めて調べたら、実際に拉致被害者が存在していた・・」と北朝鮮が言えるメンツを、怒りと復讐の気持ちを抑え、常に用意しておく。ご家族の寿命が尽きてしまう前に。”少なくとも”、「真実」が開示されるように。
提案以上ですが、現状で進展が見られない以上、相手の対応を促すため、相手の警戒を解き、ハードルを下げ、「真実の究明」という解決を提示していくことは、たしかに有力な解決法の一つだと思われます。
特にこの1,2年、米韓軍事演習、それをうけて多数のミサイル発射が頻発している状況を見ると、確かに、経済制裁や軍事演習は、沈静化に逆効果で、むしろ煽ることになってしまっています。(朝鮮半島の資産を奪いたい勢力があるのかもしれませんが)
特に周辺国、関係国について、互いを刺激せず、各国で沈静化に向けて話し合い、交渉するようにもっていく取組が必要です。
上記はミロク会・政治経済記事を担当しているA.C記載の記事です。
経済的制裁で(北朝鮮の)独裁政権が倒れることはありません。皮肉なことですが逆に政権を強くします
(経済制裁が行われると)全体主義国家では、食べ物を確保することにすら、政権への忠誠度がますます影響するようになるでしょう。
例えば、太平洋戦争中の日本経済は極度に困窮しましたが、作家や画家は、政権礼賛、戦争礼賛をしないと画材が手に入りませんでした。
経済が困窮すれば、(国のしめつけが増し)なんでもない物資の調達にさえ(国民の)イデオロギーへの服従がむしろ浸透してしまうのです。
(また、イラン・イラク戦争時は両国が、戦争を口実 に政敵を粛正していた例を挙げ)戦争状態が続いていることすら、政権にとって有利なのです。
北朝鮮を見ればまさにそうです。西側諸国の制裁が強まるほど、人民は生活を維持するために政権支持を表明しなければなりま
せん。そして、政治的に反対する者を、国難の中で反逆者として処刑することも簡単です。これが、いま北朝鮮で起こっていることではないでしょうか。
(抜粋以上ですが、これからすると、北朝鮮を孤立させず、経済的に巻き込みながら、緊張緩和の方向にもっていくことが、戦争をさ
せないためには有効ということになります。戦前の日本が戦争した大きな要因は、貧窮や諸国の経済制裁だったと言われます。)
拉致問題の解決について
また、アフリカやアフガンで長年、紛争解決に長年携わり、紛争を熟知する伊勢崎賢治さんも、上記と似たような形で、経済制裁では埒があかないことや他の交渉方法を書いていましたので、示します。
「新国防論」という本から。P150などより(括弧はこちらの付記です)
(拉致問題が)政治に翻弄される今の状況が続くと、拉致被害者の家族の皆さんの寿命が尽きてしまいます。なんとか現在の袋小路を打開しなければなりません。
北朝鮮の核・ミサイル問題に神経をとがらせているアメリカを刺激しないように配慮しつつ、(米中韓と)経済制裁の足並みをそろえながらも、日本が「人権」の王者に見せかけ、北朝鮮自身の人民を救う人道支援のリーダーシップを取る。この手があると思います。
これによって北朝鮮の懐に入り、拉致問題解決の突破口にするのです。人道支援ならアメリカも文句は言えません。
(人道救助を他国と共に表明すれば、なかなか「やめなさい」と言いにくいと思います。人道救助(人道支援)とは
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%BA%E9%81%93%E6%8F%B4%E5%8A%A9
そして、「拉致被害者を全員返せ」という強硬なスタンスではなく、「真実の究明」に向けて、交渉のハードルを一つ下げるのです。
「過去のことで北朝鮮首脳部を罪に問わない。その代わりに、一緒に真相を究明しましょう」-その過程で、生存者の発見と帰還という実益を目指す。
経済制裁という「報復」がなんの解決にもならないとしたら、対話の場を作るしかありません。
「拉致被害者を取り返すための制裁」から「真実を究明するための交渉再開」、「真実を究明するための国交正常化」へ、対策のパラダイム変換を図る。 そして、「拉致問題は過去の問題なので、現在の政権の責任は不問にする」という形で北朝鮮のメンツを立てる。
そうして一緒に真相究明の調査をしていけば、北朝鮮側が新情報を提示してくれる可能性は確実に高まります。
「改めて調べたら、実際に拉致被害者が存在していた・・」と北朝鮮が言えるメンツを、怒りと復讐の気持ちを抑え、常に用意しておく。ご家族の寿命が尽きてしまう前に。”少なくとも”、「真実」が開示されるように。
提案以上ですが、現状で進展が見られない以上、相手の対応を促すため、相手の警戒を解き、ハードルを下げ、「真実の究明」という解決を提示していくことは、たしかに有力な解決法の一つだと思われます。
特にこの1,2年、米韓軍事演習、それをうけて多数のミサイル発射が頻発している状況を見ると、確かに、経済制裁や軍事演習は、沈静化に逆効果で、むしろ煽ることになってしまっています。(朝鮮半島の資産を奪いたい勢力があるのかもしれませんが)
特に周辺国、関係国について、互いを刺激せず、各国で沈静化に向けて話し合い、交渉するようにもっていく取組が必要です。
上記はミロク会・政治経済記事を担当しているA.C記載の記事です。