参院選 自民党改憲草案③ 「天皇」と「信教の自由」について
- 2016/07/06
- 22:19
焦点 自民党改憲草案 ③ 「天皇」と「信教の自由」について
琉球新報 2016年6月15日 7面
天皇 「元首」と明文で規定
自民党の草案では、現行憲法で「日本国の象徴」となっている天皇を「元首」と変更している。
大日本帝国憲法は天皇を主権者、国家元首と定めていた。
自民党は外交儀礼上、天皇が元首として扱われていることを理由に「元首であることは紛れもない事実」と説明する。しかし、政府は過去の国会答弁で、元首かどうかは「定義いかんに帰する問題」としている。
天皇は、外国の大使の接受(接見)などをしている。
ただ、憲法の学説上、元首の要件として重視するのは、そうした儀礼的な行為だけでなく、条約締結といった実質的に国家を代表する権能(権利を主張し行使できる能力)だ。この観点からすると、日本の元首は内閣か内閣総理大臣ということになる。
天皇を元首として憲法に明文規定することは、天皇の権能を実質化、拡大させる恐れがある、との指摘も出ている。
信教の自由 「社会的儀礼」を容認
信教の自由と政教分離を定めた20条で自民党草案は、国などが宗教的活動をしてはならない、との規定に「社会的儀礼又は習俗的行為の範囲を超えないものについては、この限りでない」とする一文を加えた。自民党は「地鎮祭に当たって公費から玉串料を支出するなどの問題が現実に解決される」と説明する。
大日本帝国憲法は「神社は宗教ではない」と特権的な地位を与えたが、現行憲法はその反省を踏まえ、政教分離を徹底した。この原則に反しないかが訴訟で争われたのが、公費から神社への玉串料を納めるなどした事例。津地鎮祭訴訟の最高裁判決(1977年)は「目的が宗教的意義を持ち、効果が宗教への援助、助長になるような行為」は違憲との基準を示した上で、この件は合憲と判断。一方、愛媛県玉串料訴訟の最高裁判決(97年)は支出を違憲とした。
草案に対して、首相らが靖国神社を公式参拝しやすくする狙いがある、との見方も出ている。
琉球新報 2016年6月15日 7面
天皇 「元首」と明文で規定
自民党の草案では、現行憲法で「日本国の象徴」となっている天皇を「元首」と変更している。
大日本帝国憲法は天皇を主権者、国家元首と定めていた。
自民党は外交儀礼上、天皇が元首として扱われていることを理由に「元首であることは紛れもない事実」と説明する。しかし、政府は過去の国会答弁で、元首かどうかは「定義いかんに帰する問題」としている。
天皇は、外国の大使の接受(接見)などをしている。
ただ、憲法の学説上、元首の要件として重視するのは、そうした儀礼的な行為だけでなく、条約締結といった実質的に国家を代表する権能(権利を主張し行使できる能力)だ。この観点からすると、日本の元首は内閣か内閣総理大臣ということになる。
天皇を元首として憲法に明文規定することは、天皇の権能を実質化、拡大させる恐れがある、との指摘も出ている。
信教の自由 「社会的儀礼」を容認
信教の自由と政教分離を定めた20条で自民党草案は、国などが宗教的活動をしてはならない、との規定に「社会的儀礼又は習俗的行為の範囲を超えないものについては、この限りでない」とする一文を加えた。自民党は「地鎮祭に当たって公費から玉串料を支出するなどの問題が現実に解決される」と説明する。
大日本帝国憲法は「神社は宗教ではない」と特権的な地位を与えたが、現行憲法はその反省を踏まえ、政教分離を徹底した。この原則に反しないかが訴訟で争われたのが、公費から神社への玉串料を納めるなどした事例。津地鎮祭訴訟の最高裁判決(1977年)は「目的が宗教的意義を持ち、効果が宗教への援助、助長になるような行為」は違憲との基準を示した上で、この件は合憲と判断。一方、愛媛県玉串料訴訟の最高裁判決(97年)は支出を違憲とした。
草案に対して、首相らが靖国神社を公式参拝しやすくする狙いがある、との見方も出ている。