参院選 自民党改憲草案 ① 「前文」と「9条」について
- 2016/07/06
- 22:04
今回の参議院議員選挙について、本当の争点は「憲法改定」と言われています。
(安倍首相は、今年3月の参院予算委員会でも、憲法改正について「私の在任中に成し遂げたいと考えている」と述べ、強い意欲を示しています。
今は話題に出ませんが、集団的自衛権行使について去年9月に強行採決したように、選挙後は再び強硬に動く可能性があります。)
自民党改憲案の主な項目について、下記の記事で述べられていましたので示します。
(下線や括弧はこちらで記載したものです。)
焦点 自民党改憲草案 ① 「前文」と「9条」について
琉球新報 2016年6月13日 9面より
前文 国家前面、歴史を強調
今回の参院選で改憲勢力が3分の2に届けば、安倍晋三首相の目指す憲法改正が現実味を帯びてくる。だが、選挙戦で与党は憲法問題にほとんど触れず、十分な争点とはなっていない。そこで自民党が2012年に公表した第2次憲法改正草案を改めて紹介し、同党が国や社会のかたちをどう変えようとしているのかを考える。
自民党は「翻訳調で日本語として違和感がある」「わが国の歴史・伝統・文化を踏まえていない」と前文の全面的な書き換えを打ち出している。
現行憲法は「日本国民は」で始まり「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言」と続く。
一方、草案は「日本国は」と書き出し「長い歴史と固有の文化を持ち、国民統合の象徴である天皇を戴(いただ)く国家」。その上で「日本国民は、国と郷土を誇りと気概を持って自ら守り、(略)和を尊び、家族や社会全体が互いに助け合って国家を形成する」と記述する。
現行の「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有する」(平和的生存権)との部分はなくなっている。
草案は、現行憲法が占領下で押し付けられたものとの意識が強くにじむとともに、国家が前面に出た内容。「国民主権が後退する」との懸念も出ている。
第9条 国防軍、任務拡大の恐れ
現行憲法は「第2章 戦争の放棄」として9条の条文が続くが、自民党草案は章名を「安全保障」に変更。条文では戦力不保持と交戦権否定をうたう部分をなくしている。
「国権の発動としての戦争を放棄」との文言は残るものの、「自衛権の発動を妨げるものではない」と規定。自衛権の中には集団的自衛権も含まれると説明する。さらに「国防軍を保持する」と自衛隊の名称を改めると明示。「国は(略)国民と協力して、領土、領海及び領空を保全し、その資源を確保しなければならない」とも定める。
自衛隊には、装備面で空母や大陸間弾道ミサイルなどの攻撃的兵器を持てないとの制約がある。国防軍ではこうした制約がなくなり、任務が大きく広がる可能性がある。
安全保障関連法で限定的に容認された集団的自衛権は、制限が緩和されることも考えられる。「国民と協力」との部分は、国民に領土・資源確保義務を課すとも解され、「将来的に国防義務を課すことを視野に入れている」と懸念する声もある。
(安倍首相は、今年3月の参院予算委員会でも、憲法改正について「私の在任中に成し遂げたいと考えている」と述べ、強い意欲を示しています。
今は話題に出ませんが、集団的自衛権行使について去年9月に強行採決したように、選挙後は再び強硬に動く可能性があります。)
自民党改憲案の主な項目について、下記の記事で述べられていましたので示します。
(下線や括弧はこちらで記載したものです。)
焦点 自民党改憲草案 ① 「前文」と「9条」について
琉球新報 2016年6月13日 9面より
前文 国家前面、歴史を強調
今回の参院選で改憲勢力が3分の2に届けば、安倍晋三首相の目指す憲法改正が現実味を帯びてくる。だが、選挙戦で与党は憲法問題にほとんど触れず、十分な争点とはなっていない。そこで自民党が2012年に公表した第2次憲法改正草案を改めて紹介し、同党が国や社会のかたちをどう変えようとしているのかを考える。
自民党は「翻訳調で日本語として違和感がある」「わが国の歴史・伝統・文化を踏まえていない」と前文の全面的な書き換えを打ち出している。
現行憲法は「日本国民は」で始まり「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言」と続く。
一方、草案は「日本国は」と書き出し「長い歴史と固有の文化を持ち、国民統合の象徴である天皇を戴(いただ)く国家」。その上で「日本国民は、国と郷土を誇りと気概を持って自ら守り、(略)和を尊び、家族や社会全体が互いに助け合って国家を形成する」と記述する。
現行の「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有する」(平和的生存権)との部分はなくなっている。
草案は、現行憲法が占領下で押し付けられたものとの意識が強くにじむとともに、国家が前面に出た内容。「国民主権が後退する」との懸念も出ている。
第9条 国防軍、任務拡大の恐れ
現行憲法は「第2章 戦争の放棄」として9条の条文が続くが、自民党草案は章名を「安全保障」に変更。条文では戦力不保持と交戦権否定をうたう部分をなくしている。
「国権の発動としての戦争を放棄」との文言は残るものの、「自衛権の発動を妨げるものではない」と規定。自衛権の中には集団的自衛権も含まれると説明する。さらに「国防軍を保持する」と自衛隊の名称を改めると明示。「国は(略)国民と協力して、領土、領海及び領空を保全し、その資源を確保しなければならない」とも定める。
自衛隊には、装備面で空母や大陸間弾道ミサイルなどの攻撃的兵器を持てないとの制約がある。国防軍ではこうした制約がなくなり、任務が大きく広がる可能性がある。
安全保障関連法で限定的に容認された集団的自衛権は、制限が緩和されることも考えられる。「国民と協力」との部分は、国民に領土・資源確保義務を課すとも解され、「将来的に国防義務を課すことを視野に入れている」と懸念する声もある。