原発、その反省・未来について
- 2016/03/22
- 09:06
原発、その反省・未来について
2011年の3.11に関連する福島第一原発事故から、5年が経ちます。
今でも5万7千人余がプレハブ仮設住宅生活を送り、避難区域から、4万3千人余が避難生活を送っています。
疲労や精神的ショックなどで亡くなった人(震災関連死)は3410人となっています。(2016年3月10日 岩手、宮城、福島県の報告)
2014年3月の朝日新聞等による世論調査では、「原発事故への被災者の関心が薄れ、風化しつつあると思うか」との問いに、実に77%の人が、「風化しつつある」と答えています。
また、福島の復興に道筋がついたかどうかという質問に対しては、「まったくついていない」「あまりついていない」が82%に上っています。
5年の区切りで、復興事業の地元負担等、国の支援縮小の動きがあります。オリンピック以前に、被災前の生活に戻れるよう、しっかりした息の長い支援策が必要と考えます。
そのような中、3月10日には、稼働中の高浜原発が、大津地裁による運転差し止め仮処分決定により、停止しました。
人々の努力、意識により、司法も変わってきているのかもしれません。真摯に動き続ければ、日本の原発を一つ一つ止められる可能性もあると思います。
日米安保の事情から、米国の核倉庫の役割がある原発(後述します)、一般住民、国民の安全、生活、命を省みず、原発コストを電気代に上乗せできる仕組を作り、動かし続けようとする原発の現状を変える上で、本当に、踏ん張り時だと思います。
(それには、原発の「本当の役割」を知ることも大切かと思われます。)
今から、日本中の原発、廃炉を決定し、その作業をしないと、今も頻発する地殻変動に、日本が耐えられないのではないでしょうか。(福島原発でさえ、廃炉には30年~40年かかるとされています)
「原発停止」とはいっても、原子炉は核反応を続け、熱を発し続け、冷却を続けていますし、震災があった場合は、同じように核物質が漏れるリスクがあるからです。
29年経つチェルノブイリでも、石棺がボロボロになったため、第二石棺を作ろうとする、作業の途中です。1基のチェルノブイリだけでこの作業です。
原発というのは、一度稼働すると、止めるのに相当の期間とコストを要します。封じ込め、電気を使い冷やし続けないといけません。コストも労力も膨大にかかります。
3.11を経験した日本としては、国民一人一人が、しっかりと「原発は、決して安価でも必須でもないこと」
そもそも、原発建設コストは膨大(電気代に転嫁して維持)、廃棄物処理のめどがない(温度管理、場所もない)、廃炉に40年以上かかる、という現実があります。
「面倒くさそうだから見ないでおこう」ですまされるものではありません。何より、ここまで人的被害を出しています。
国土損失による農業、産業、地域への影響は、電気代うんぬんという次元ではないこと。
ウランも何十年後かには枯渇します。持続可能でもありません。
日本は、大規模ソーラーを設置する、オイルシェール、メタンハイドレード、地熱も本気になって開発する。人材、予算も本気で傾注すれば、開発できるのではないでしょうか。
風力も国を挙げて開発、放射性物質を出さない核融合の研究継続など、今の電力を火力や、送電融通、売買で維持しながら(これはできています)、国を挙げてソーラー、オイルシェール、メタンハイドレート、地熱から電気を取り出す技術を、国を挙げて開発すべきではないでしょうか。
日本がそれを開発すれば、今後の中国、アジア諸国、アフリカなどの人口、経済が伸びる中で、50年後、100年後の環境保護、ひいては核不拡散にも役に立ちます。
今、日本ががんばれば、地球の人、地球の役に立つんです。
「自民党、アメリカ指導の巨大利権があるから、原発撤廃は難しい」というのは「神話」だと思います。
現にドイツは、2011年の日本の3.11を「教訓」として、原発を全廃することを決定しています。
原子力擁護派だったドイツのメルケル首相は、福島事故の映像を見て原子力批判派に「転向」し、東日本大震災からわずか4カ月後には、原子力発電所を2022年末までに全廃することを法制化しています。
http://www.asahi.com/articles/ASH6V463SH6VUEHF004.html
ドイツという国の将来を、首相や関係者が真剣に考え、日本の原発事故に学んでいます。反省すべきは反省し、将来を真剣に考え、方針を立てる。こういう真摯さを、今の日本は学んでもよいのではないでしょうか。
国を作っているのは、国民の一人一人です。
前置きが長くなりましたが、「日本のエネルギー政策はドイツに学べ」だと考えます。
原発に疑問を感じる技術者、政治家、メディア、は訪ドイツ団を作って、学びに行く価値はあるのではないでしょうか。まずは出向いて、エネルギー、外交、戦後処理など部門ごとに学ぶ仕組みを作る。真摯さの空気に学ぶ。政策提案を作る、発表する、学ぶ、のは、与党でなくてもできます。
日本が今、本気で動けば、繰り返しますが、アジアのエネルギー政策、国際関係も変わるのではないでしょうか。
ドイツは、戦後、戦後の地位回復、周辺国との融和を図り、成功してきました。日本にとって、得るものは多いと考えます。
掲載記事筆者:ミロク会・政治経済記事 担当者
2011年の3.11に関連する福島第一原発事故から、5年が経ちます。
今でも5万7千人余がプレハブ仮設住宅生活を送り、避難区域から、4万3千人余が避難生活を送っています。
疲労や精神的ショックなどで亡くなった人(震災関連死)は3410人となっています。(2016年3月10日 岩手、宮城、福島県の報告)
2014年3月の朝日新聞等による世論調査では、「原発事故への被災者の関心が薄れ、風化しつつあると思うか」との問いに、実に77%の人が、「風化しつつある」と答えています。
また、福島の復興に道筋がついたかどうかという質問に対しては、「まったくついていない」「あまりついていない」が82%に上っています。
5年の区切りで、復興事業の地元負担等、国の支援縮小の動きがあります。オリンピック以前に、被災前の生活に戻れるよう、しっかりした息の長い支援策が必要と考えます。
そのような中、3月10日には、稼働中の高浜原発が、大津地裁による運転差し止め仮処分決定により、停止しました。
人々の努力、意識により、司法も変わってきているのかもしれません。真摯に動き続ければ、日本の原発を一つ一つ止められる可能性もあると思います。
日米安保の事情から、米国の核倉庫の役割がある原発(後述します)、一般住民、国民の安全、生活、命を省みず、原発コストを電気代に上乗せできる仕組を作り、動かし続けようとする原発の現状を変える上で、本当に、踏ん張り時だと思います。
(それには、原発の「本当の役割」を知ることも大切かと思われます。)
今から、日本中の原発、廃炉を決定し、その作業をしないと、今も頻発する地殻変動に、日本が耐えられないのではないでしょうか。(福島原発でさえ、廃炉には30年~40年かかるとされています)
「原発停止」とはいっても、原子炉は核反応を続け、熱を発し続け、冷却を続けていますし、震災があった場合は、同じように核物質が漏れるリスクがあるからです。
29年経つチェルノブイリでも、石棺がボロボロになったため、第二石棺を作ろうとする、作業の途中です。1基のチェルノブイリだけでこの作業です。
原発というのは、一度稼働すると、止めるのに相当の期間とコストを要します。封じ込め、電気を使い冷やし続けないといけません。コストも労力も膨大にかかります。
3.11を経験した日本としては、国民一人一人が、しっかりと「原発は、決して安価でも必須でもないこと」
そもそも、原発建設コストは膨大(電気代に転嫁して維持)、廃棄物処理のめどがない(温度管理、場所もない)、廃炉に40年以上かかる、という現実があります。
「面倒くさそうだから見ないでおこう」ですまされるものではありません。何より、ここまで人的被害を出しています。
国土損失による農業、産業、地域への影響は、電気代うんぬんという次元ではないこと。
ウランも何十年後かには枯渇します。持続可能でもありません。
日本は、大規模ソーラーを設置する、オイルシェール、メタンハイドレード、地熱も本気になって開発する。人材、予算も本気で傾注すれば、開発できるのではないでしょうか。
風力も国を挙げて開発、放射性物質を出さない核融合の研究継続など、今の電力を火力や、送電融通、売買で維持しながら(これはできています)、国を挙げてソーラー、オイルシェール、メタンハイドレート、地熱から電気を取り出す技術を、国を挙げて開発すべきではないでしょうか。
日本がそれを開発すれば、今後の中国、アジア諸国、アフリカなどの人口、経済が伸びる中で、50年後、100年後の環境保護、ひいては核不拡散にも役に立ちます。
今、日本ががんばれば、地球の人、地球の役に立つんです。
「自民党、アメリカ指導の巨大利権があるから、原発撤廃は難しい」というのは「神話」だと思います。
現にドイツは、2011年の日本の3.11を「教訓」として、原発を全廃することを決定しています。
原子力擁護派だったドイツのメルケル首相は、福島事故の映像を見て原子力批判派に「転向」し、東日本大震災からわずか4カ月後には、原子力発電所を2022年末までに全廃することを法制化しています。
http://www.asahi.com/articles/ASH6V463SH6VUEHF004.html
ドイツという国の将来を、首相や関係者が真剣に考え、日本の原発事故に学んでいます。反省すべきは反省し、将来を真剣に考え、方針を立てる。こういう真摯さを、今の日本は学んでもよいのではないでしょうか。
国を作っているのは、国民の一人一人です。
前置きが長くなりましたが、「日本のエネルギー政策はドイツに学べ」だと考えます。
原発に疑問を感じる技術者、政治家、メディア、は訪ドイツ団を作って、学びに行く価値はあるのではないでしょうか。まずは出向いて、エネルギー、外交、戦後処理など部門ごとに学ぶ仕組みを作る。真摯さの空気に学ぶ。政策提案を作る、発表する、学ぶ、のは、与党でなくてもできます。
日本が今、本気で動けば、繰り返しますが、アジアのエネルギー政策、国際関係も変わるのではないでしょうか。
ドイツは、戦後、戦後の地位回復、周辺国との融和を図り、成功してきました。日本にとって、得るものは多いと考えます。
掲載記事筆者:ミロク会・政治経済記事 担当者
- テーマ:環境・資源・エネルギー
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