今後改定を予定しているという憲法改正にあたり、注意すべき点について
- 2017/06/11
- 12:06
安倍首相は、5月に憲法改正提案を行い、公明党は、7月中にも9条改正を巡る議論を始める方向で調整に入ったとの報道報道があります。(6月10日現在)
ほんとうに、憲法改定に本格的に動き出しています。今の政権は、公明党が合意さえすれば、実質的に改憲しうる環境にあります。(なので、今、公明党が納得しうる、内容を、他の選挙タイミング勘案しながら、自民党公明党などで調整していると思われます)
2015年に集団的自衛権を認める法改定をしましたが、なぜ今9条改定にこだわるのか。
それは、2015年に成立した安保関連法が、これまでの政府見解で違憲としてきたこと。そして、同6月4日の憲法審査会でも、憲法学者3名が、3人とも「憲法違反」だと言っていたにも関わらず、強行採決したからだと考えます。
さらには、2015年6月30日の朝日新聞は憲法学者ら122人に、安保関連法案は合憲か違憲かを聞いたところ、なんと85%にあたる104人が「憲法違反にあたる」と答えています。また、安倍内閣の安保改定の閣議決定には、95%が妥当でないと答えています。
つまり、日本の憲法の専門家のほとんどが違憲としたものを、法的根拠がないまま勝手に国会で強行採決しただけと言える状況なのです。
http://www.asahi.com/topics/word/%E5%AE%89%E4%BF%9D%E6%B3%95%E6%A1%88%E5%AD%A6%E8%80%85%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%83%88.html
憲法改正を急いでいるのは、「2015年の安保法改定は、実は憲法違反」というのを安倍首相や官僚が十二分に認識しているためと考えられます。
これは非常に重要な論点です。
「2015年安保改定はやっぱり違憲だった」、という実態自体を、法学部の学生からでも、法律を知る人からでも、そして国民レベルで広く知らせることが、今、大きな意味を持つと考えます。
憲法裁判所がない、訴えの利益がないと訴訟できないから可決すれば大丈夫、と官邸や官僚は考えていると思いますが、国民がよく知ることが何より大切だと思います。大多数がおかしいと思うことは、できないからです。
そして、この法律改定で何らか実害が生じた人(訴えの利益がある人)は、違憲訴訟をすることも可能です。(例えば、自衛隊員が危険な任務につく際、自衛官や家族に何らかの被害が出る。集団的自衛権発動のための訓練での被害など いろいろ出る可能性があります)http://www.asahi.com/articles/ASJCT3F4KJCTIIPE003.html
憲法改定の他の目的としては、集団的自衛権の発動要件をゆるめていくこと。保持を認められなかった「攻撃用兵器」の製造、購入などを、憲法上も認めようというところだと思います。
他国を攻撃可能なミサイル、爆撃機、空母、などを購入すること。そしてアメリカやオーストラリアの攻撃に乗り、先制攻撃の正当化することも考えられます。(「攻撃型でない」空母、実質上の爆撃機、ミサイルなどは今でも保有を検討しているかと思います。)
憲法改定案では、「自衛のため」という表現に、自衛権(集団的自衛権)という意味を持たせ、自国の防衛でなく、他国の戦争に参加、共同攻撃、それができる武器保有を認める内容となっています。
「自衛」は、たった2文字ですが、そういう深い、重要な意味が入っています。
「加憲」だと公明党も、「元の憲法に手を加えていないですから」と、庶民をごまかしやすくい面があります。
「もとの憲法条文には、全く変えていないから大丈夫」と。
しかし、あとの文章で、1項と2項を無力化できるのです。
そして、ここからは憲法全体の話をしますが、2012年の自民党改憲案では、国民の基本的人権の記述を消し、
「国民主権を奪い」
「官僚が国会議員並みの権限を持ち」
「緊急事態と認めれば首相が独裁でき」
「TPPやEPAなど海外との条約の説明義務がなくなる」
という、国民、国会議員からすると、とんでもない内容となっており、
自民党改憲案は、国民にとって、国会議員にとって、非常に警戒すべきものです。
ですので、この機会に、下記に2012年時の自民党改憲案の国民の権利にかかる主な変更点を示します。
(今後出る改憲案は、これより巧妙化してくる可能性があります。しかし、下記の内容を頭に入れておけば、その巧妙な改定、骨抜きトリックは、見抜きやすくなるはずです。)
条文は自民党改憲案です。
案文 http://constitution.jimin.jp/draft/
同Q&A http://constitution.jimin.jp/faq/
下記に、重要な改変内容の一例を示します。条文は自民党改憲案です。
・前文「国民主権の下、立法、行政及び司法の三権分立に基づいて統治される。」
→国民が国権に基づいて統治されると書いてあり、実質的に国民主権でなくなる。
・第9条(近年議論されている自民党改憲案) 下村博文元文科大臣(現幹事長代行)案
2「前条の規定は、自衛のための自衛隊を設けることを妨げるものではない」
→自衛のため(手段的自衛権を含む)のために自衛隊を設け、攻撃することはよい。
「他国との戦争参加」、「その発動要件の緩和」、「武器の製造保有」「集団的自衛権のための武力行使」を認める内容。自衛(集団的自衛権含む)という言葉を入れることで、内容が骨抜きになる。
・第21条 国は、国政上の行為につき国民に説明する責務を負う。
→国は、条約や協定、TPPなど、海外向けに行う約束事へのの説明責任がなくなる。
・第28条 2. 財産権の内容は、公益及び公の秩序に適合するように、法律で定める。
→財産権が公の秩序のために制約される。
・第66条 内閣総理大臣及び全ての国務大臣は、現役の軍人であってはならない。
→例えば、自衛隊出身者が財務大臣、文科大臣、地方創生大臣になることも可能。戦前の軍国教育、徴兵、教育や地方自治、省庁などが大きな機能を果たしました。
・第83条2.「財政の健全性は、法律の定めるところにより、確保されなければならない。」
→国債、戦時国債など、財政健全に繋がらない政策も、法律で定めれば行ってよい。
財政の健全化のためにといって、国民の貯金や資産も戦争にもっていく可能性もある。
・第96条 両議院のそれぞれの総議員の過半数の賛成で国会が議決し、国民に提案~この承認には、国民の投票において有効投票の過半数の賛成を必要とする。
→「有権者など全体」でなく、「有効投票のうちの」過半数となっているので、憲法改正がやりやすくなる。以後改定を続ける可能性もある。
・第97条 基本的人権の削除。
→基本的人権とは、人間が人間として当然持っている基本的な権利のことを指します。
思想の自由・信教の自由などの自由権、参政権、生活を保障される「生存権」などの社会権。(生存や、発言が出来る、これが憲法で守られてきた意味の強調文大きさを、今、知ってほしいです)
・第98条 (緊急事態の宣言)~大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において、特に必要があると認めるときは、~緊急事態の宣言を発することができる。
総理が非常事態を宣言すれば、閣議で法律を作り、総理大臣が予算編成・支出、処分、各行政機関への指示ができる。(国会・行政が持つ権限を行使できる)」
要するに独裁ができるような内容。
ほんとうに、これでいいのでしょうか。
内容は重複しますが、参考に、対応案含めた過去の記事も示しておきます。
http://mirokumusubi.blog115.fc2.com/blog-entry-2449.html
上記は、政治経済を担当している、A.Cによる記事です。
ほんとうに、憲法改定に本格的に動き出しています。今の政権は、公明党が合意さえすれば、実質的に改憲しうる環境にあります。(なので、今、公明党が納得しうる、内容を、他の選挙タイミング勘案しながら、自民党公明党などで調整していると思われます)
2015年に集団的自衛権を認める法改定をしましたが、なぜ今9条改定にこだわるのか。
それは、2015年に成立した安保関連法が、これまでの政府見解で違憲としてきたこと。そして、同6月4日の憲法審査会でも、憲法学者3名が、3人とも「憲法違反」だと言っていたにも関わらず、強行採決したからだと考えます。
さらには、2015年6月30日の朝日新聞は憲法学者ら122人に、安保関連法案は合憲か違憲かを聞いたところ、なんと85%にあたる104人が「憲法違反にあたる」と答えています。また、安倍内閣の安保改定の閣議決定には、95%が妥当でないと答えています。
つまり、日本の憲法の専門家のほとんどが違憲としたものを、法的根拠がないまま勝手に国会で強行採決しただけと言える状況なのです。
http://www.asahi.com/topics/word/%E5%AE%89%E4%BF%9D%E6%B3%95%E6%A1%88%E5%AD%A6%E8%80%85%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%83%88.html
憲法改正を急いでいるのは、「2015年の安保法改定は、実は憲法違反」というのを安倍首相や官僚が十二分に認識しているためと考えられます。
これは非常に重要な論点です。
「2015年安保改定はやっぱり違憲だった」、という実態自体を、法学部の学生からでも、法律を知る人からでも、そして国民レベルで広く知らせることが、今、大きな意味を持つと考えます。
憲法裁判所がない、訴えの利益がないと訴訟できないから可決すれば大丈夫、と官邸や官僚は考えていると思いますが、国民がよく知ることが何より大切だと思います。大多数がおかしいと思うことは、できないからです。
そして、この法律改定で何らか実害が生じた人(訴えの利益がある人)は、違憲訴訟をすることも可能です。(例えば、自衛隊員が危険な任務につく際、自衛官や家族に何らかの被害が出る。集団的自衛権発動のための訓練での被害など いろいろ出る可能性があります)http://www.asahi.com/articles/ASJCT3F4KJCTIIPE003.html
憲法改定の他の目的としては、集団的自衛権の発動要件をゆるめていくこと。保持を認められなかった「攻撃用兵器」の製造、購入などを、憲法上も認めようというところだと思います。
他国を攻撃可能なミサイル、爆撃機、空母、などを購入すること。そしてアメリカやオーストラリアの攻撃に乗り、先制攻撃の正当化することも考えられます。(「攻撃型でない」空母、実質上の爆撃機、ミサイルなどは今でも保有を検討しているかと思います。)
憲法改定案では、「自衛のため」という表現に、自衛権(集団的自衛権)という意味を持たせ、自国の防衛でなく、他国の戦争に参加、共同攻撃、それができる武器保有を認める内容となっています。
「自衛」は、たった2文字ですが、そういう深い、重要な意味が入っています。
「加憲」だと公明党も、「元の憲法に手を加えていないですから」と、庶民をごまかしやすくい面があります。
「もとの憲法条文には、全く変えていないから大丈夫」と。
しかし、あとの文章で、1項と2項を無力化できるのです。
そして、ここからは憲法全体の話をしますが、2012年の自民党改憲案では、国民の基本的人権の記述を消し、
「国民主権を奪い」
「官僚が国会議員並みの権限を持ち」
「緊急事態と認めれば首相が独裁でき」
「TPPやEPAなど海外との条約の説明義務がなくなる」
という、国民、国会議員からすると、とんでもない内容となっており、
自民党改憲案は、国民にとって、国会議員にとって、非常に警戒すべきものです。
ですので、この機会に、下記に2012年時の自民党改憲案の国民の権利にかかる主な変更点を示します。
(今後出る改憲案は、これより巧妙化してくる可能性があります。しかし、下記の内容を頭に入れておけば、その巧妙な改定、骨抜きトリックは、見抜きやすくなるはずです。)
条文は自民党改憲案です。
案文 http://constitution.jimin.jp/draft/
同Q&A http://constitution.jimin.jp/faq/
下記に、重要な改変内容の一例を示します。条文は自民党改憲案です。
・前文「国民主権の下、立法、行政及び司法の三権分立に基づいて統治される。」
→国民が国権に基づいて統治されると書いてあり、実質的に国民主権でなくなる。
・第9条(近年議論されている自民党改憲案) 下村博文元文科大臣(現幹事長代行)案
2「前条の規定は、自衛のための自衛隊を設けることを妨げるものではない」
→自衛のため(手段的自衛権を含む)のために自衛隊を設け、攻撃することはよい。
「他国との戦争参加」、「その発動要件の緩和」、「武器の製造保有」「集団的自衛権のための武力行使」を認める内容。自衛(集団的自衛権含む)という言葉を入れることで、内容が骨抜きになる。
・第21条 国は、国政上の行為につき国民に説明する責務を負う。
→国は、条約や協定、TPPなど、海外向けに行う約束事へのの説明責任がなくなる。
・第28条 2. 財産権の内容は、公益及び公の秩序に適合するように、法律で定める。
→財産権が公の秩序のために制約される。
・第66条 内閣総理大臣及び全ての国務大臣は、現役の軍人であってはならない。
→例えば、自衛隊出身者が財務大臣、文科大臣、地方創生大臣になることも可能。戦前の軍国教育、徴兵、教育や地方自治、省庁などが大きな機能を果たしました。
・第83条2.「財政の健全性は、法律の定めるところにより、確保されなければならない。」
→国債、戦時国債など、財政健全に繋がらない政策も、法律で定めれば行ってよい。
財政の健全化のためにといって、国民の貯金や資産も戦争にもっていく可能性もある。
・第96条 両議院のそれぞれの総議員の過半数の賛成で国会が議決し、国民に提案~この承認には、国民の投票において有効投票の過半数の賛成を必要とする。
→「有権者など全体」でなく、「有効投票のうちの」過半数となっているので、憲法改正がやりやすくなる。以後改定を続ける可能性もある。
・第97条 基本的人権の削除。
→基本的人権とは、人間が人間として当然持っている基本的な権利のことを指します。
思想の自由・信教の自由などの自由権、参政権、生活を保障される「生存権」などの社会権。(生存や、発言が出来る、これが憲法で守られてきた意味の強調文大きさを、今、知ってほしいです)
・第98条 (緊急事態の宣言)~大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において、特に必要があると認めるときは、~緊急事態の宣言を発することができる。
総理が非常事態を宣言すれば、閣議で法律を作り、総理大臣が予算編成・支出、処分、各行政機関への指示ができる。(国会・行政が持つ権限を行使できる)」
要するに独裁ができるような内容。
ほんとうに、これでいいのでしょうか。
内容は重複しますが、参考に、対応案含めた過去の記事も示しておきます。
http://mirokumusubi.blog115.fc2.com/blog-entry-2449.html
上記は、政治経済を担当している、A.Cによる記事です。