中国、アメリカの対立と、日本がすべきことについて その3
- 2020/09/02
- 15:42
尖閣問題に関して、日本が取るべき姿勢ついては書いた通りですが、追加情報として、尖閣問題の解決などについて、過去記事に加筆などしたものを紹介します。過去記事リンク 1,台湾、中国の関係について 2,南沙問題についてhttp://inorinowa2.blog.fc2.com/blog-entry-106.html3,尖閣問題について 4,北朝鮮問題についてhttp://inorinowa2.blog.fc2.com/blog-entry-107.html5,中東、IS関連の紛争についてhttp://inorino...
尖閣問題に関して、日本が取るべき姿勢ついては書いた通りですが、
追加情報として、尖閣問題の解決などについて、過去記事に加筆などしたものを紹介します。
過去記事リンク 1,台湾、中国の関係について 2,南沙問題について
http://inorinowa2.blog.fc2.com/blog-entry-106.html
3,尖閣問題について 4,北朝鮮問題について
http://inorinowa2.blog.fc2.com/blog-entry-107.html
5,中東、IS関連の紛争について
http://inorinowa2.blog.fc2.com/blog-entry-108.html
〇尖閣問題について
どういう状況か。
尖閣諸島には、天然ガスや石油などの天然資源が存在する。(国連の調査等による)
日本側は、尖閣諸島をめぐり解決すべき領有権の問題は そもそも存在しないと主張している。一方の中国側は、文献があり、ポツダム宣言により、尖閣は台湾領となり、台湾は中国に含まれると考えるため中国領という主張をしている。
2010年9月に日本政府がこの海域の中国漁船を拿捕し、これまでの棚上げを行わなかったこと、2012年に国有化したことなどから、中国もこれまでの尖閣での漁船管理を緩めている。これらも要因となり、尖閣での漁船、公船の活動が増えている。
尖閣の領有権をめぐっては、交渉当事者の証言、首脳の発言によると、1972年の日中国交正常化、1978年の日中平和条約締結時に、日中は「棚上げ」で合意し、それに基づいてそれぞれ自国の違法船を拿捕する形で、争いが起こらないよう処理してきた。
(棚上げ合意の存在は、1972年の周恩来、田中角栄会談録、1978年鄧小平発言、交渉者証言(二階堂進、橋本恕、栗山尚一)、2013年の野中広務、山口那津男らの発言などから確認できる。)
上記棚上げが反故にされてきていること等から、現在、尖閣問題は大きくなってきている。
紛争へのエスカレートを避けるため、放置せぬよう、今後も国民の注意が必要である。
どうしたらいいか
1,尖閣に関する棚上げ合意を日本から破らないこと
(問題解決に向け、日本から中国と話し合うこと)
2,これまでの平和原則の合意、国連憲章などにも言及するようにし、日中が尖閣などで武力行使をしないという約束を中国ととりつけること。
3,日本はASEAN諸国、台湾、韓国などの国と、政府、民間でも、積極的に情報交換を行い、連携して国際世論に訴えながら、中国と交渉すること。
4,棚上げが現実的で、日本に有利であることを、日本の関係者が共有すること。
5,2008年福田内閣時に尖閣について日中で共同出資、共同開発をする旨の取り決めをしていたので、その続きの交渉を行う。
2018年6月から、日中の「海空連絡メカニズム」の運用が開始され、防衛当局間のホットライン開設と年次会合開催などを行うとしていたため、その強化・継続を行う。
その他(心構えや参考として 出た意見など)
お互いの考えをよく知ることが大切。
領土問題では、一方が強く出ると相手も強く出ようとする心理が働きやすい。また、各国、国家意識が強く出るため、感情的にならないようにし冷静に対処する。
(手を出したり、軍事的に対抗したり、互いの感情を焚きつけないこと)
棚上げが破られたこと、漁業の解禁日やその取り締まりが十分でないことも漁船が増える要因となっている。
文化・スポーツ等の交流によって、緊張状態が緩和することがある。外交だけに特化せず、いろんな方法を検討する。韓流ブームによる両国のイメージ良化、スマップが中国温家宝首相と会見したなどの交流は有効。国民レベルでの印象改善。
文化交流をより深めてコミュニケーションとる。芸能、スポーツ、アニメ等。
交渉に関連して、相手のことを知ってるかどうかで、成否に差が出る。(相手を知ることが大切)
交渉の一番良いとする落とし所は51点。100で勝ってしまうと、負けた方は必ず取り戻そうとする。でも、49の負けさせて51で勝てば、お互いに思い入れは少なくすむ。というスタンスが大切。(孫崎享氏)
国際的な紛争を解決する方法は三つ。
「外交交渉」
「司法的解決」
「解決しないことでの解決」」(つまり早期に白黒つけず、保留も方法としつつ粘り強く対話を続ける)(栗山尚一)
日本はこれについて、ひっかきまわすこともできるし、安定に導くメディエイター(仲裁人)にもなれる。
国民が「戦争なんてないでしょ」と放置したり、印象操作に流されてパニックになるのが危険。また、戦争で儲かる国や団体が存在する。
学校などでも、政治について考えさせ、関心を持たせるようにする教育も日本は必要ではないか。(市民の資質を養うシチズンシップ教育は、アメリカ、スウェーデン、イギリス、コスタリカなどで盛んである。話し合って解決することの教育など。)
〇南沙、西沙問題について
どういう状況か。
中国は、成長する経済・軍事力を背景として、近隣諸国の反発にも関わらず、南沙・西沙に人工島、ミサイル基地、建物など軍事施設を建造している。
中国と、フィリピン ベトナム マレーシア ブルネイ、台湾等の国々と意見の対立が残っている状況。
どうすればいいか
行動規範をつくることを当面の目標にする(孫崎享 鳩山友起夫)
南沙では、現状の区分けで折り合いをつけるのが現実的では。ただ、今の中国の埋め立てなどはやりすぎでフィリピンとマレーシアとベトナムに配慮すべき。(副島隆彦)
2002年11月に宣言されている「南シナ海における当事国の行動に関する宣言(DOC)」や、2008年のASEAN憲章に言及し、中国が重視してきた国連憲章にも触れ、武力行使や緊張をエスカレートさせないことを決め、領有や開発についても話し合う。国連憲章には内政不干渉や平和的解決がうたわれている。
ASEANから求められれば、日本が入るのもよい</span>と考えられる。
仲裁裁判所がフィリピン政府に有利な裁定を下し続ける姿勢を崩さないようにすれば、中国は世界の国々から、外交・司法面での圧力にさらされ、輸入や輸出などの外交に大きく影響が出る。裁定に逆らうことが中国側にとって不利であるということを実感させるようにする。一方で、中国の国民意識への配慮も必要。(共産党の意見とは異なる場合もある)
中国の軍と政府、国民の意向は必ずしも一枚板ではない。
国民の情報化も活用し、味方につける方法もある。人々網、we chat 等のSNS。
緊張を回避し続ければ、徐々に学生や若年層等から情報化が進み、反日教育など互いの対立工作の影響が薄れていく流れもありうる。(緊張回避、情報化により流れが変わってくる可能性もある)
この記事は、政治経済を担当している、知念敦によるものです。
追加情報として、尖閣問題の解決などについて、過去記事に加筆などしたものを紹介します。
過去記事リンク 1,台湾、中国の関係について 2,南沙問題について
http://inorinowa2.blog.fc2.com/blog-entry-106.html
3,尖閣問題について 4,北朝鮮問題について
http://inorinowa2.blog.fc2.com/blog-entry-107.html
5,中東、IS関連の紛争について
http://inorinowa2.blog.fc2.com/blog-entry-108.html
〇尖閣問題について
どういう状況か。
尖閣諸島には、天然ガスや石油などの天然資源が存在する。(国連の調査等による)
日本側は、尖閣諸島をめぐり解決すべき領有権の問題は そもそも存在しないと主張している。一方の中国側は、文献があり、ポツダム宣言により、尖閣は台湾領となり、台湾は中国に含まれると考えるため中国領という主張をしている。
2010年9月に日本政府がこの海域の中国漁船を拿捕し、これまでの棚上げを行わなかったこと、2012年に国有化したことなどから、中国もこれまでの尖閣での漁船管理を緩めている。これらも要因となり、尖閣での漁船、公船の活動が増えている。
尖閣の領有権をめぐっては、交渉当事者の証言、首脳の発言によると、1972年の日中国交正常化、1978年の日中平和条約締結時に、日中は「棚上げ」で合意し、それに基づいてそれぞれ自国の違法船を拿捕する形で、争いが起こらないよう処理してきた。
(棚上げ合意の存在は、1972年の周恩来、田中角栄会談録、1978年鄧小平発言、交渉者証言(二階堂進、橋本恕、栗山尚一)、2013年の野中広務、山口那津男らの発言などから確認できる。)
上記棚上げが反故にされてきていること等から、現在、尖閣問題は大きくなってきている。
紛争へのエスカレートを避けるため、放置せぬよう、今後も国民の注意が必要である。
どうしたらいいか
1,尖閣に関する棚上げ合意を日本から破らないこと
(問題解決に向け、日本から中国と話し合うこと)
2,これまでの平和原則の合意、国連憲章などにも言及するようにし、日中が尖閣などで武力行使をしないという約束を中国ととりつけること。
3,日本はASEAN諸国、台湾、韓国などの国と、政府、民間でも、積極的に情報交換を行い、連携して国際世論に訴えながら、中国と交渉すること。
4,棚上げが現実的で、日本に有利であることを、日本の関係者が共有すること。
5,2008年福田内閣時に尖閣について日中で共同出資、共同開発をする旨の取り決めをしていたので、その続きの交渉を行う。
2018年6月から、日中の「海空連絡メカニズム」の運用が開始され、防衛当局間のホットライン開設と年次会合開催などを行うとしていたため、その強化・継続を行う。
その他(心構えや参考として 出た意見など)
お互いの考えをよく知ることが大切。
領土問題では、一方が強く出ると相手も強く出ようとする心理が働きやすい。また、各国、国家意識が強く出るため、感情的にならないようにし冷静に対処する。
(手を出したり、軍事的に対抗したり、互いの感情を焚きつけないこと)
棚上げが破られたこと、漁業の解禁日やその取り締まりが十分でないことも漁船が増える要因となっている。
文化・スポーツ等の交流によって、緊張状態が緩和することがある。外交だけに特化せず、いろんな方法を検討する。韓流ブームによる両国のイメージ良化、スマップが中国温家宝首相と会見したなどの交流は有効。国民レベルでの印象改善。
文化交流をより深めてコミュニケーションとる。芸能、スポーツ、アニメ等。
交渉に関連して、相手のことを知ってるかどうかで、成否に差が出る。(相手を知ることが大切)
交渉の一番良いとする落とし所は51点。100で勝ってしまうと、負けた方は必ず取り戻そうとする。でも、49の負けさせて51で勝てば、お互いに思い入れは少なくすむ。というスタンスが大切。(孫崎享氏)
国際的な紛争を解決する方法は三つ。
「外交交渉」
「司法的解決」
「解決しないことでの解決」」(つまり早期に白黒つけず、保留も方法としつつ粘り強く対話を続ける)(栗山尚一)
日本はこれについて、ひっかきまわすこともできるし、安定に導くメディエイター(仲裁人)にもなれる。
国民が「戦争なんてないでしょ」と放置したり、印象操作に流されてパニックになるのが危険。また、戦争で儲かる国や団体が存在する。
学校などでも、政治について考えさせ、関心を持たせるようにする教育も日本は必要ではないか。(市民の資質を養うシチズンシップ教育は、アメリカ、スウェーデン、イギリス、コスタリカなどで盛んである。話し合って解決することの教育など。)
〇南沙、西沙問題について
どういう状況か。
中国は、成長する経済・軍事力を背景として、近隣諸国の反発にも関わらず、南沙・西沙に人工島、ミサイル基地、建物など軍事施設を建造している。
中国と、フィリピン ベトナム マレーシア ブルネイ、台湾等の国々と意見の対立が残っている状況。
どうすればいいか
行動規範をつくることを当面の目標にする(孫崎享 鳩山友起夫)
南沙では、現状の区分けで折り合いをつけるのが現実的では。ただ、今の中国の埋め立てなどはやりすぎでフィリピンとマレーシアとベトナムに配慮すべき。(副島隆彦)
2002年11月に宣言されている「南シナ海における当事国の行動に関する宣言(DOC)」や、2008年のASEAN憲章に言及し、中国が重視してきた国連憲章にも触れ、武力行使や緊張をエスカレートさせないことを決め、領有や開発についても話し合う。国連憲章には内政不干渉や平和的解決がうたわれている。
ASEANから求められれば、日本が入るのもよい</span>と考えられる。
仲裁裁判所がフィリピン政府に有利な裁定を下し続ける姿勢を崩さないようにすれば、中国は世界の国々から、外交・司法面での圧力にさらされ、輸入や輸出などの外交に大きく影響が出る。裁定に逆らうことが中国側にとって不利であるということを実感させるようにする。一方で、中国の国民意識への配慮も必要。(共産党の意見とは異なる場合もある)
中国の軍と政府、国民の意向は必ずしも一枚板ではない。
国民の情報化も活用し、味方につける方法もある。人々網、we chat 等のSNS。
緊張を回避し続ければ、徐々に学生や若年層等から情報化が進み、反日教育など互いの対立工作の影響が薄れていく流れもありうる。(緊張回避、情報化により流れが変わってくる可能性もある)
この記事は、政治経済を担当している、知念敦によるものです。
中国、アメリカの対立と、日本がすべきことについて その2
- 2020/09/02
- 15:29
尖閣問題に関して、日本が取れる方法の続きです。日本は、大国の中国に対しても「小男ながら独立自尊の矜持を失わず、善隣友好、互恵平等、平和共存の原則に立って、相手と末永く交際する。」という姿勢を日本が持ち、日本のリーダーや官僚、経済人、他党の関係者が役割分担して国益のために動くことが必要だと思います。(田中角栄回想録の外交姿勢より)腹をくくって、勇気をもって相手国に主張するということが、今の日本のリー...
尖閣問題に関して、日本が取れる方法の続きです。
日本は、大国の中国に対しても「小男ながら独立自尊の矜持を失わず、善隣友好、互恵平等、平和共存の原則に立って、相手と末永く交際する。」という姿勢を日本が持ち、日本のリーダーや官僚、経済人、他党の関係者が役割分担して国益のために動くことが必要だと思います。(田中角栄回想録の外交姿勢より)
腹をくくって、勇気をもって相手国に主張するということが、今の日本のリーダーには足りないように思います。相手も自国に何が必要かを理解しています。
日本に必要なのは「求めよ、さらば与えられん」という姿勢を持って、待ちでなく、勇気と気概をもって、国民の利益を自ら求めていくことです。
そして「外交は人間力」だとよく言われます。相手になめられず、相手に認められ、相手を動かすような気概、人間力を育てることが必要だと思います。
一方で、自国にいたまま、貿易制裁や尖閣国有化など、遠距離からつぶてを投げ合うのは、人間力による交渉ではないと思います。
そのようなやり方では、「やられたらやりかえす」という外交ルールにのっとり、相手もつぶてを投げるだけです。
国益のために、腰を据えて話し合う胆力が国のリーダーにはやはり必要です。
日中の領土関連では、この数年の動きとして、サンゴの乱獲、尖閣への侵入、沖ノ鳥島など日本の領土であったところを侵しつつあります。
これまで、竹島については日韓が領土も問題を事実上凍結し、日中で尖閣問題は棚上げとしてきました。
近年の対処のまずさからこれが崩れかねない状況もありますが、当面これを回復して乗り切る方法を模索し、改善が必要なら、将来に向けて互いの求めるものを話し合うべきです。
急進的なおかしな主張には、日本としても、筋道を立ててわかりやすく反論すること、そのために日本政府内において歴史認識をしっかり共有することも大切だと思います。
繰り返しますが、まず現状を放置しないこと、当事国が話し合うこと、日本も立場をしっかり主張することが大事です。
為政者らは国益のために勇気を持つことが大事です。
事実上容認のような放置策をとると、戦前のドイツのように、侵略を行わせる可能性があります。兆候のある段階から、問題回避のために相手方と交渉すべきです。
問題放置後、尖閣が取られてしまった場合、次は有人島の八重山、宮古諸島、沖縄本島での戦争になりかねません。その危機意識をしっかり持ち、合理的に、組織的に、侵略をとどめていく取組が必要です。
国内で騒いで、尖閣に上陸すればいい、国有化すればいいという問題でもないと思います。
相手と交渉すればよりわかると思いますが、中国が何を欲しているかを知ることは大切です。
南沙、尖閣で中国がほしいのは、「太平洋へのアクセス」と、「中国防衛ラインの拡大」、「石油などの資源確保」にあると思います。
その背景には、中国には、1839年のアヘン戦争から、フランス、ドイツ、イギリス、日本、ロシア、アメリカに侵略・蹂躙された「屈辱の100年」という歴史があり、その列強への恐怖・屈辱感・不信感を知ることも大事かと思います。
また、中国は石油の70%を海外に依存しており、それを安定的に確保・拡大していく必要があります。
(エネルギーや水問題の解決は、中国でも悩ましい問題だと思います。)
具体に言うと、沿岸部に集中する中国主要都市を攻撃されないエリアを確保したい。
力を背景に太平洋に勢力を広げたい。資源・利権を確保したい。
アメリカはこれに対し、日本の航空技術(最近解禁)や自衛隊などを活用し、必死に止めてくると思います。
日本政府は、それを求められている最中だと思います。
しかし、その提案の中の敵地攻撃能力、ミサイル能力を持つことで、日本の安全は守られるのかよく考える必要があります。
(私は、日本へのミサイル配備では、国土防衛は困難であり、過去の重慶爆撃を彷彿させ、外交上不利になると考えます。)
その3に続きます。
日本は、大国の中国に対しても「小男ながら独立自尊の矜持を失わず、善隣友好、互恵平等、平和共存の原則に立って、相手と末永く交際する。」という姿勢を日本が持ち、日本のリーダーや官僚、経済人、他党の関係者が役割分担して国益のために動くことが必要だと思います。(田中角栄回想録の外交姿勢より)
腹をくくって、勇気をもって相手国に主張するということが、今の日本のリーダーには足りないように思います。相手も自国に何が必要かを理解しています。
日本に必要なのは「求めよ、さらば与えられん」という姿勢を持って、待ちでなく、勇気と気概をもって、国民の利益を自ら求めていくことです。
そして「外交は人間力」だとよく言われます。相手になめられず、相手に認められ、相手を動かすような気概、人間力を育てることが必要だと思います。
一方で、自国にいたまま、貿易制裁や尖閣国有化など、遠距離からつぶてを投げ合うのは、人間力による交渉ではないと思います。
そのようなやり方では、「やられたらやりかえす」という外交ルールにのっとり、相手もつぶてを投げるだけです。
国益のために、腰を据えて話し合う胆力が国のリーダーにはやはり必要です。
日中の領土関連では、この数年の動きとして、サンゴの乱獲、尖閣への侵入、沖ノ鳥島など日本の領土であったところを侵しつつあります。
これまで、竹島については日韓が領土も問題を事実上凍結し、日中で尖閣問題は棚上げとしてきました。
近年の対処のまずさからこれが崩れかねない状況もありますが、当面これを回復して乗り切る方法を模索し、改善が必要なら、将来に向けて互いの求めるものを話し合うべきです。
急進的なおかしな主張には、日本としても、筋道を立ててわかりやすく反論すること、そのために日本政府内において歴史認識をしっかり共有することも大切だと思います。
繰り返しますが、まず現状を放置しないこと、当事国が話し合うこと、日本も立場をしっかり主張することが大事です。
為政者らは国益のために勇気を持つことが大事です。
事実上容認のような放置策をとると、戦前のドイツのように、侵略を行わせる可能性があります。兆候のある段階から、問題回避のために相手方と交渉すべきです。
問題放置後、尖閣が取られてしまった場合、次は有人島の八重山、宮古諸島、沖縄本島での戦争になりかねません。その危機意識をしっかり持ち、合理的に、組織的に、侵略をとどめていく取組が必要です。
国内で騒いで、尖閣に上陸すればいい、国有化すればいいという問題でもないと思います。
相手と交渉すればよりわかると思いますが、中国が何を欲しているかを知ることは大切です。
南沙、尖閣で中国がほしいのは、「太平洋へのアクセス」と、「中国防衛ラインの拡大」、「石油などの資源確保」にあると思います。
その背景には、中国には、1839年のアヘン戦争から、フランス、ドイツ、イギリス、日本、ロシア、アメリカに侵略・蹂躙された「屈辱の100年」という歴史があり、その列強への恐怖・屈辱感・不信感を知ることも大事かと思います。
また、中国は石油の70%を海外に依存しており、それを安定的に確保・拡大していく必要があります。
(エネルギーや水問題の解決は、中国でも悩ましい問題だと思います。)
具体に言うと、沿岸部に集中する中国主要都市を攻撃されないエリアを確保したい。
力を背景に太平洋に勢力を広げたい。資源・利権を確保したい。
アメリカはこれに対し、日本の航空技術(最近解禁)や自衛隊などを活用し、必死に止めてくると思います。
日本政府は、それを求められている最中だと思います。
しかし、その提案の中の敵地攻撃能力、ミサイル能力を持つことで、日本の安全は守られるのかよく考える必要があります。
(私は、日本へのミサイル配備では、国土防衛は困難であり、過去の重慶爆撃を彷彿させ、外交上不利になると考えます。)
その3に続きます。
中国、アメリカの対立と、日本がすべきことについて その1
- 2020/09/02
- 15:10
アメリカと中国は、特に2018年3月以降、互いに関税をかけあう貿易戦争といえる状態となっています。アメリカは2018年、中国製品に鉄鋼関税、ロボット、半導体、家具、家電をはじめ、今では輸出品のほとんどに関税をかけ、中国はそれに対抗し、大豆、自動車、液化天然ガスなどアメリカの輸出品のほとんどに関税をかけて、さらに拡大しつつあります。(参考)1からわかる!「米中貿易摩擦」【前編】そもそもの経緯は?https://www3...
アメリカと中国は、特に2018年3月以降、互いに関税をかけあう貿易戦争といえる状態となっています。
アメリカは2018年、中国製品に鉄鋼関税、ロボット、半導体、家具、家電をはじめ、今では輸出品のほとんどに関税をかけ、中国はそれに対抗し、大豆、自動車、液化天然ガスなどアメリカの輸出品のほとんどに関税をかけて、さらに拡大しつつあります。
(参考)1からわかる!「米中貿易摩擦」【前編】そもそもの経緯は?
https://www3.nhk.or.jp/news/special/news_seminar/jiji/jiji6/
貿易戦争が起こる背景として、「アメリカが中国に覇権国の座を奪われることへの恐れ」があると言われます。
中国が軍事にもつながるIT技術や5Gの次世代通信網などを手に入れ、中国が経済、軍事で世界ナンバーワンになることへの「恐れ」があります。
また、中国はこれを企業秘密の盗用、技術買収などの方法で行ってきており、その手法にも不満が高まっています。アフリカや太平洋、南米への開発も増えています。
そして、この米中対立が、現在、外交、軍事面への対立にもエスカレートしており、互いの領事館の閉鎖、軍事演習、8月の中国の南シナ海でのミサイル発射に至っており、状況を放置すると、今後紛争、戦争にエスカレートしかねない状況があります。
中国、南シナ海に弾道ミサイル4発発射 「空母キラー」で米けん制 8月24日時事
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020082700234&g=int
まず、これで注意したいのは、この対立はアメリカが単に大統領選対策で起こしているものではないということです。
選挙対策だと軽く見て、日本やフィリピンなどが米中関係を放置すると、領海侵犯が本格化し、紛争、戦争など取り返しのつかないことになりかねません。
(アメリカは、覇権が追い込まれているため、最終的には戦争してでも中国の覇権を封じたいという考えはあると思います。)
また、米中経済摩擦は、日本や東南アジア、ヨーロッパにも悪影響を及ぼすため、経済面からも他国が放置しないことが大事だと思います。世界市場が市場やシステムで二極化すれば、周辺国も経済的損失を被るからです。
そのために、中国がなぜ覇権を広げているかを知り、国際協調で中国をセーブさせていくことが必要です。また、米政府が大統領選の勢いで国民を煽り、恐怖をエスカレートさせないことも大事です。
中国は帝国主義政策をとっており、それは力を背景に自国の権益を拡張するため、相手国がひるみ、国際社会が沈黙していると、エスカレートしていく傾向があります。
ですので、日本やフィリピン、台湾などが必死になって抵抗し、国際社会も「もうやりすぎだ」という反応を示して、中国自身が、このままでは損をするという判断するようもっていくことが大切です。
まず、何より、日本やフィリピンは中国と問題解決のため直接話し合うことが大事です。
すでにアメリカは、「危機下で必要な連絡のシステムを作りたい」と中国を訪問する考えを示しています。本来なら、これを日本が率先して行うべきです。
尖閣は日本と中国の領土問題だからです。日本が中国と話し合えば、より穏便な打開策はつかめるはずです。
米国防長官 年内訪中の意向 危機下の対話構築を 2020/07/22
https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000189032.html
フィリピンが現在行っている、米中の間をとるバランス外交でも中国対策には弱いと思うため、日本がフィリピンと危機感を共有し、打開策を検討していくことも必要だと思います。
日本・フィリピンは、それと並行し、一国でなく、ベトナム、マレーシア、ブルネイ、台湾、インドネシアなどの国々とも危機感や現状を共有する。会議を持つことも検討した方がよいです。
また第三国をはさんで仲介、調停、仲裁することも検討すべきです。
時間がかかりますが、国際裁判という方法もあります。
いずれにしても、対策が後手に回らないよう、日本とフィリピンがそれぞれ早めに中国と話し合うことが大事だと考えます。
その2に続きます。
アメリカは2018年、中国製品に鉄鋼関税、ロボット、半導体、家具、家電をはじめ、今では輸出品のほとんどに関税をかけ、中国はそれに対抗し、大豆、自動車、液化天然ガスなどアメリカの輸出品のほとんどに関税をかけて、さらに拡大しつつあります。
(参考)1からわかる!「米中貿易摩擦」【前編】そもそもの経緯は?
https://www3.nhk.or.jp/news/special/news_seminar/jiji/jiji6/
貿易戦争が起こる背景として、「アメリカが中国に覇権国の座を奪われることへの恐れ」があると言われます。
中国が軍事にもつながるIT技術や5Gの次世代通信網などを手に入れ、中国が経済、軍事で世界ナンバーワンになることへの「恐れ」があります。
また、中国はこれを企業秘密の盗用、技術買収などの方法で行ってきており、その手法にも不満が高まっています。アフリカや太平洋、南米への開発も増えています。
そして、この米中対立が、現在、外交、軍事面への対立にもエスカレートしており、互いの領事館の閉鎖、軍事演習、8月の中国の南シナ海でのミサイル発射に至っており、状況を放置すると、今後紛争、戦争にエスカレートしかねない状況があります。
中国、南シナ海に弾道ミサイル4発発射 「空母キラー」で米けん制 8月24日時事
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020082700234&g=int
まず、これで注意したいのは、この対立はアメリカが単に大統領選対策で起こしているものではないということです。
選挙対策だと軽く見て、日本やフィリピンなどが米中関係を放置すると、領海侵犯が本格化し、紛争、戦争など取り返しのつかないことになりかねません。
(アメリカは、覇権が追い込まれているため、最終的には戦争してでも中国の覇権を封じたいという考えはあると思います。)
また、米中経済摩擦は、日本や東南アジア、ヨーロッパにも悪影響を及ぼすため、経済面からも他国が放置しないことが大事だと思います。世界市場が市場やシステムで二極化すれば、周辺国も経済的損失を被るからです。
そのために、中国がなぜ覇権を広げているかを知り、国際協調で中国をセーブさせていくことが必要です。また、米政府が大統領選の勢いで国民を煽り、恐怖をエスカレートさせないことも大事です。
中国は帝国主義政策をとっており、それは力を背景に自国の権益を拡張するため、相手国がひるみ、国際社会が沈黙していると、エスカレートしていく傾向があります。
ですので、日本やフィリピン、台湾などが必死になって抵抗し、国際社会も「もうやりすぎだ」という反応を示して、中国自身が、このままでは損をするという判断するようもっていくことが大切です。
まず、何より、日本やフィリピンは中国と問題解決のため直接話し合うことが大事です。
すでにアメリカは、「危機下で必要な連絡のシステムを作りたい」と中国を訪問する考えを示しています。本来なら、これを日本が率先して行うべきです。
尖閣は日本と中国の領土問題だからです。日本が中国と話し合えば、より穏便な打開策はつかめるはずです。
米国防長官 年内訪中の意向 危機下の対話構築を 2020/07/22
https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000189032.html
フィリピンが現在行っている、米中の間をとるバランス外交でも中国対策には弱いと思うため、日本がフィリピンと危機感を共有し、打開策を検討していくことも必要だと思います。
日本・フィリピンは、それと並行し、一国でなく、ベトナム、マレーシア、ブルネイ、台湾、インドネシアなどの国々とも危機感や現状を共有する。会議を持つことも検討した方がよいです。
また第三国をはさんで仲介、調停、仲裁することも検討すべきです。
時間がかかりますが、国際裁判という方法もあります。
いずれにしても、対策が後手に回らないよう、日本とフィリピンがそれぞれ早めに中国と話し合うことが大事だと考えます。
その2に続きます。