今日5月12日国会審議入りといわれる 種苗法改定について
- 2020/05/12
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今日5月12日から、「種苗法」の改定について、国会審議予定との情報があります。今回改定される予定なのは、「種子法」でなく、より深刻な影響を持つ「種苗法」になりますが、農家の経営や食の安全への影響が大きいことから、実質的な内容がほとんど知られないまま改定するのは避けるべきだと思います。2017年2月には、急に、日本の「種子法」が廃止されましたが、今回の種苗法改定は、登録種の自家栽培、稲、麦、大豆サトウキビ...
今日5月12日から、「種苗法」の改定について、国会審議予定との情報があります。
今回改定される予定なのは、「種子法」でなく、より深刻な影響を持つ「種苗法」になりますが、農家の経営や食の安全への影響が大きいことから、実質的な内容がほとんど知られないまま改定するのは避けるべきだと思います。
2017年2月には、急に、日本の「種子法」が廃止されましたが、今回の種苗法改定は、登録種の自家栽培、稲、麦、大豆サトウキビ、イモ類、果樹類、花類に影響が大きく、国会審議が、14日に採決、衆院本会議で承認、18日の週に参議院で同様に法案成立することが予定との情報があるとのことです。
法案が成立すれば、(行政が手塩にかけて開発した、あまおうやゆめぴりかなどの)登録品種について、農家が買ってきた種子の農家の自家栽培が認められず、毎回許諾を得ないといけなくなります。
そうなれば、承諾料の支払い含め、日本の農家に大きな負担になってしまいます。
このような影響が大きい法案改定は、なぜ行う必要があるのかも含めて、多くの人で考える必要があります。
下記農水省の説明では、「登録品種はごく一部であり、一般品種には影響はない」、
「今回の法改定は、海外への種子流出が懸念されるため」と説明していますが、
普通に考えて、今回の種苗法改定で、「国内農家に対して」許諾や許諾料支払が義務付けられたとしても、中国など海外への種子流出が止められるものではありません。
国内農家に許諾料が義務付けされても、中国の持ち出す人は持ち出すと思います。
それぞれの国で品種登録をして育成権を主張すること、違反者には刑事告訴するなどの方法がまだ効果的です。
そもそも、農水省は、2017年に種苗法を廃止して制定した「農業競争力強化支援法」において、(海外企業の圧力のためと思われますが)国や地方自治体が持つ種苗の知見を民間企業へ譲渡させることを求めており、行政が供給していた種子に民間企業の許諾料を発生させる方向に法整備を進めています。海外種子企業の利益誘導の側面が大きい改定です。
農水省が、出回っているには一般種子がほとんどで登録種子の割合は少ない(から心配ない)という説明をするなら、そもそも登録種子にも許諾料を発生させなければもっと心配は少くなると思います。
農水省は、海外種子企業の献金や圧力に屈せず、国民の農家や消費者の利益を守ってほしいと思います。
農水省の説明など
種苗法の一部を改正する法律案について
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/shubyoho.html
種苗法の一部を改正する法律案の概要
https://www.maff.go.jp/j/law/bill/201/attach/pdf/index-38.pdf
少なくとも、この2,3年の種子法廃止、種苗法改定の動きは、内容を見ても、米国メーカーが7割を占める種子企業の儲けをつくり、行政が持っていた権利を譲渡していく流れですので、日本の農家は打撃を受けることが予想されます。
これを誰のためにやっているのか。(これらの企業はTPP推進時にもかなりロビイングをしていました。)
現在、遺伝子組み換え企業(米国のモンサントやコルテバ・アグリサイエンス等)の4社が世界の種子の7割を握っているといわれ、それを利する承諾料などを発生させることは、その企業の便宜を供与していると言われてもしかたないです。
国内自給率、農家育成、食の安全などを海外企業に売り渡す判断を、農家、国民が気付かないうちにやるべきではないと思います。
このような大きな変更を、コロナに報道が集中する中で、先の審議日程のように、改定をかなり急いでいる様子があるため、注意が必要です。
以前のTPPロビイング(企業が献金して圧力をかける)のように、相当政府や農水省に圧力がかかっていると考えられます。
政府や省庁はなぜもっと国民を巻き込んで議論しないのでしょうか。このような傍観主義が日本の欠点だと思います。
(日本人の調整を見ていると、ここだけの話ですがと話をし、相手は強大な企業なので仕方がない、状況はわかっているといいながらよく諦観しますが、本当に意味合いがわかっているのでしょうか。
国や国民の利益を守るチャンスを逃がさないことが大事です。)
参考記事 種苗法改定法案、ココが問題
http://blog.rederio.jp/archives/5165#more-5165
世界穀物メジャーや遺伝子組み換え企業などで、種子というのは重要な位置づけで、農薬耐性のある種子が農薬とセットで日本や世界に販売され、利権を得る動きがあります。
それは通常の作物では農薬に耐えられないほどの農薬が使用されるということを意味し、有害と言われるグリホサート剤などが人体腸内へ悪影響を及ぼし、ヨーロッパアメリカでは、ガンが発生したと訴訟問題にもなっています。
(除草剤のグリホサート剤は買い手がなく、特に日本がターゲットにされています。「日本が売られる」堤美果著より)
そもそも、人間の力だけでは、自分が食する食物を何一つつくることはできません。
自然の力で畑に実ったものを農家さんが収穫し、加工し、店においてもらっているのを、サプライチェーンを活用し、食べる人は買わせてもらっているにすぎません。
(買えるからといって、自分の力でつくったものではありません。)
農作物は、山、川、大地、空気、日光が育み、栄養や風味をもたらす、その人知を超えた成分や構成など(昔の人は、この力を妖精などで例えたそうですし、実際そうなのだろうと思います)、自然の恵みがあり、それは何千年も何代も自分たちの祖先や私たちを養ってきたものです。
種子法やその独占は、その、本来人間が逆立ちしてもつくれないものを、自分のものだと勘違いしているところ、ましてやその地域の住民が苦労しながら培ってきたものを、独占し、遺伝子操作しようとする、おこがましさ、不遜さに、種子ビジネスの大きな問題があると思います。
このまま海外の種子・農薬メーカーに国の食の安全や値段をゆだねるのではなく、国民が、食の安全や日本の農業を守る上でも、種子や遺伝子資源を守ることの大切さを認識し、地方自治体(議会)でも条例制定等を通じて種子や品種を守り、農家の権利を守っていただきたいと思います。
食べさせてもらっているという感謝、食物を大事に守ろうという意識が、今の日本人により必要じゃないでしょうか。そのためには、メディアや関係者による情報共有、意識喚起がとても大切だと思います。
そして、食や種子が独占されたり、食の安心を売ることなく、子孫の遺伝子や健康を守るため、種を守り、安全なものを食べることを大切にする価値観が広がってほしいと思います。
最近の種苗法関連の主な報道など
安倍政権の「火事場泥棒」ここにも…柴咲コウも怒った種苗法改正の闇
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/72491
種苗法改正 農業崩壊にならないか 東京新聞社説 2020年4月25日
https://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2020042502000101.html
種子業界は、ほとんど米国企業が独占しているという記事
種苗業界の世界ランキング:世界1位モンサントが買収、バイオメジャーの時代が到来へ
https://www.sbbit.jp/article/cont1/36568#head4
拙速な審議は延期を-種苗法改正 種子を守る会 2020年4月15日
https://www.jacom.or.jp/nousei/news/2020/04/200415-41245.php
この記事は、政治経済を担当している、知念敦による情報紹介含む記事です。
今回改定される予定なのは、「種子法」でなく、より深刻な影響を持つ「種苗法」になりますが、農家の経営や食の安全への影響が大きいことから、実質的な内容がほとんど知られないまま改定するのは避けるべきだと思います。
2017年2月には、急に、日本の「種子法」が廃止されましたが、今回の種苗法改定は、登録種の自家栽培、稲、麦、大豆サトウキビ、イモ類、果樹類、花類に影響が大きく、国会審議が、14日に採決、衆院本会議で承認、18日の週に参議院で同様に法案成立することが予定との情報があるとのことです。
法案が成立すれば、(行政が手塩にかけて開発した、あまおうやゆめぴりかなどの)登録品種について、農家が買ってきた種子の農家の自家栽培が認められず、毎回許諾を得ないといけなくなります。
そうなれば、承諾料の支払い含め、日本の農家に大きな負担になってしまいます。
このような影響が大きい法案改定は、なぜ行う必要があるのかも含めて、多くの人で考える必要があります。
下記農水省の説明では、「登録品種はごく一部であり、一般品種には影響はない」、
「今回の法改定は、海外への種子流出が懸念されるため」と説明していますが、
普通に考えて、今回の種苗法改定で、「国内農家に対して」許諾や許諾料支払が義務付けられたとしても、中国など海外への種子流出が止められるものではありません。
国内農家に許諾料が義務付けされても、中国の持ち出す人は持ち出すと思います。
それぞれの国で品種登録をして育成権を主張すること、違反者には刑事告訴するなどの方法がまだ効果的です。
そもそも、農水省は、2017年に種苗法を廃止して制定した「農業競争力強化支援法」において、(海外企業の圧力のためと思われますが)国や地方自治体が持つ種苗の知見を民間企業へ譲渡させることを求めており、行政が供給していた種子に民間企業の許諾料を発生させる方向に法整備を進めています。海外種子企業の利益誘導の側面が大きい改定です。
農水省が、出回っているには一般種子がほとんどで登録種子の割合は少ない(から心配ない)という説明をするなら、そもそも登録種子にも許諾料を発生させなければもっと心配は少くなると思います。
農水省は、海外種子企業の献金や圧力に屈せず、国民の農家や消費者の利益を守ってほしいと思います。
農水省の説明など
種苗法の一部を改正する法律案について
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/shubyoho.html
種苗法の一部を改正する法律案の概要
https://www.maff.go.jp/j/law/bill/201/attach/pdf/index-38.pdf
少なくとも、この2,3年の種子法廃止、種苗法改定の動きは、内容を見ても、米国メーカーが7割を占める種子企業の儲けをつくり、行政が持っていた権利を譲渡していく流れですので、日本の農家は打撃を受けることが予想されます。
これを誰のためにやっているのか。(これらの企業はTPP推進時にもかなりロビイングをしていました。)
現在、遺伝子組み換え企業(米国のモンサントやコルテバ・アグリサイエンス等)の4社が世界の種子の7割を握っているといわれ、それを利する承諾料などを発生させることは、その企業の便宜を供与していると言われてもしかたないです。
国内自給率、農家育成、食の安全などを海外企業に売り渡す判断を、農家、国民が気付かないうちにやるべきではないと思います。
このような大きな変更を、コロナに報道が集中する中で、先の審議日程のように、改定をかなり急いでいる様子があるため、注意が必要です。
以前のTPPロビイング(企業が献金して圧力をかける)のように、相当政府や農水省に圧力がかかっていると考えられます。
政府や省庁はなぜもっと国民を巻き込んで議論しないのでしょうか。このような傍観主義が日本の欠点だと思います。
(日本人の調整を見ていると、ここだけの話ですがと話をし、相手は強大な企業なので仕方がない、状況はわかっているといいながらよく諦観しますが、本当に意味合いがわかっているのでしょうか。
国や国民の利益を守るチャンスを逃がさないことが大事です。)
参考記事 種苗法改定法案、ココが問題
http://blog.rederio.jp/archives/5165#more-5165
世界穀物メジャーや遺伝子組み換え企業などで、種子というのは重要な位置づけで、農薬耐性のある種子が農薬とセットで日本や世界に販売され、利権を得る動きがあります。
それは通常の作物では農薬に耐えられないほどの農薬が使用されるということを意味し、有害と言われるグリホサート剤などが人体腸内へ悪影響を及ぼし、ヨーロッパアメリカでは、ガンが発生したと訴訟問題にもなっています。
(除草剤のグリホサート剤は買い手がなく、特に日本がターゲットにされています。「日本が売られる」堤美果著より)
そもそも、人間の力だけでは、自分が食する食物を何一つつくることはできません。
自然の力で畑に実ったものを農家さんが収穫し、加工し、店においてもらっているのを、サプライチェーンを活用し、食べる人は買わせてもらっているにすぎません。
(買えるからといって、自分の力でつくったものではありません。)
農作物は、山、川、大地、空気、日光が育み、栄養や風味をもたらす、その人知を超えた成分や構成など(昔の人は、この力を妖精などで例えたそうですし、実際そうなのだろうと思います)、自然の恵みがあり、それは何千年も何代も自分たちの祖先や私たちを養ってきたものです。
種子法やその独占は、その、本来人間が逆立ちしてもつくれないものを、自分のものだと勘違いしているところ、ましてやその地域の住民が苦労しながら培ってきたものを、独占し、遺伝子操作しようとする、おこがましさ、不遜さに、種子ビジネスの大きな問題があると思います。
このまま海外の種子・農薬メーカーに国の食の安全や値段をゆだねるのではなく、国民が、食の安全や日本の農業を守る上でも、種子や遺伝子資源を守ることの大切さを認識し、地方自治体(議会)でも条例制定等を通じて種子や品種を守り、農家の権利を守っていただきたいと思います。
食べさせてもらっているという感謝、食物を大事に守ろうという意識が、今の日本人により必要じゃないでしょうか。そのためには、メディアや関係者による情報共有、意識喚起がとても大切だと思います。
そして、食や種子が独占されたり、食の安心を売ることなく、子孫の遺伝子や健康を守るため、種を守り、安全なものを食べることを大切にする価値観が広がってほしいと思います。
最近の種苗法関連の主な報道など
安倍政権の「火事場泥棒」ここにも…柴咲コウも怒った種苗法改正の闇
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/72491
種苗法改正 農業崩壊にならないか 東京新聞社説 2020年4月25日
https://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2020042502000101.html
種子業界は、ほとんど米国企業が独占しているという記事
種苗業界の世界ランキング:世界1位モンサントが買収、バイオメジャーの時代が到来へ
https://www.sbbit.jp/article/cont1/36568#head4
拙速な審議は延期を-種苗法改正 種子を守る会 2020年4月15日
https://www.jacom.or.jp/nousei/news/2020/04/200415-41245.php
この記事は、政治経済を担当している、知念敦による情報紹介含む記事です。