日本における高齢者肺炎の死亡率上昇について
- 2020/02/12
- 07:50
感染症に関連して、日本に関して追記したいのですが、この20年ほどで、日本の高齢者における、肺炎(誤嚥性肺炎)が増加傾向にあります。 下記リンクなどによりますと、日本における肺炎死亡者数に占める65歳以上の高齢者の割合は96.8%という報告があり、近年のグラフを見ても、肺炎が高齢者の死因として増加傾向です。 特に、下記の(2018年東京健安研センター年報 P273~p274)を見ると、日本とアメリカでは、肺炎の死亡率が上...
感染症に関連して、日本に関して追記したいのですが、この20年ほどで、日本の高齢者における、肺炎(誤嚥性肺炎)が増加傾向にあります。
下記リンクなどによりますと、日本における肺炎死亡者数に占める65歳以上の高齢者の割合は96.8%という報告があり、近年のグラフを見ても、肺炎が高齢者の死因として増加傾向です。
特に、下記の(2018年東京健安研センター年報 P273~p274)を見ると、日本とアメリカでは、肺炎の死亡率が上昇している傾向があり、誤嚥性肺炎について、他の先進国に比して日本のみが誤嚥性肺炎の年齢調整死亡率が急増しています。(p274 「2,誤嚥性肺炎」のグラフ)
このレポートは、今後の人口動態、日本の高齢者のケアを考える上で重要だと考えます。
1,2018年東京健安研センター年報
http://www.tokyo-eiken.go.jp/files/archive/issue/kenkyunenpo/nenpou69/69-33.pdf
また、これらの肺炎は、青森、大阪、山口、鹿児島は一貫して平均死亡率が高く、佐賀は徐々に高くなっているとのことです。
日本呼吸器学会が2017年4月に発表したガイドラインでは、誤嚥性肺炎などの肺炎の治療に関して、積極的な治療を行わず、緩和ケアだけを行うケースも生じることになる。このようなケースが多く生じるようになれば、人口動態統計にも影響を及ぼすことが考えられる。肺炎や誤嚥性肺炎による死亡者の今後の動向を注視していく必要があろう。(p276)としています。
上記ガイドラインは、アメリカで提唱されたHCAPという肺炎ケアの判断基準と連関していますが、日本もこれに基づき2011年から医療・介護関連肺炎ガイドライン(NHCAP)を改定し、肺炎の強力な治療が時に必ずしも有益でないことをふまえ、本人や家族の判断を尊重するという方向に変わっています。
私は、日本とアメリカが、他の先進国に比して、肺炎による死亡率が上がっていることと、日米のこのケアをとっていることに関係があるのか、よく調べる必要があると考えます。
先の年報では、誤嚥性肺炎の死亡を減少させるための手段として、「口腔のケア」や「口腔機能訓練」の重要性が指摘されており、これら手段の活用により誤嚥性肺炎による死亡者の減少が期待される。今後の死亡動向を観測し、これらの有効性を評価していくことも重要であろうとしています。(p275)
また、肺炎球菌ワクチンについても、2014年10月から、肺炎球菌ワクチンが高齢者を対象とした定期接種となった。このワクチン接種の費用対効果を検討していく際には、現在観測されている死亡率の減少を十分考慮し分析する必要があるだろうとしています。(p275)
私は、下記リンク2などのように、ここまで高齢者の肺炎死亡が増大しているのを、単なる高齢者の増や病名記載の変更が原因とするのは、考えにくいと思いますが、いずれにせよ、(特に誤嚥性)肺炎による高齢者の死亡が増加傾向にありますので、「口腔のケア」や「口腔機能訓練」可能な予防策が打つべきですし、普段介護現場で誤嚥対策、予防策、ケアがしっかり行われているか、留意する必要があると思います。
治療を投げ出さない、老化だからしかたないという風潮にならないように。
今の高齢者肺炎死亡の増加動向がどうなっていくのか、多くの人が注目して対応していく必要があると思います。
具体には、介護・医療現場で、現場のマニュアル含め、誤嚥性肺炎が生じないようちゃんとケアされるようになっているか留意していく必要があると思います。
また、これは一般人ができる方法として、飲み込む力を鍛えるトレーニングは、医学的にも有効とのことです。
下記のようなトレーニングの普及と、介護、医療現場では、口腔ケアなど誤嚥性肺炎を防ぐ体制をしっかりつくることが大切です。
下記はトレーニング法です。
早い段階でのど力をつければ、寿命に差がつく(10年延びる)と下記本では書いています。
死を招く誤嚥性肺炎を防ぐ のみ込む力を鍛えるトレーニング法
1~10を毎日1セット行う。それも難しい人は1~4だけでもOK。できる人は毎食前に1セット行うと効果的。
https://kaigo.news-postseven.com/5520/2
書籍
「肺炎がいやなら、のどを鍛えなさい」西山耕一郎著
緩和ケアに移行する風潮があるとすれば、介護現場が、人員不足、賃金不足で、疲弊している可能性もあると思います。
日本の介護は、まだ賃金が安く、介護人材が不足していますが、私はヨーロッパなども参考に、1万円の追加などではなく、介護報酬を制度的にあげることに本気で取り組むべきだと思います。
また、薬や点滴ありきで医療費が流れるのでなく、人に流れるようにしていく組み替えも必要だと思います。
点数ありきが、寝たきり、体を動かさせない、外に出さない介護につながっているからです。
体験ルポ 世界の高齢者福祉 山井 和則
今政府は、介護離職ゼロをめざし、介護の受け皿を増やす取組、介護人材の確保、ICTや介護ロボットの活用、介護分野へのシニア参入を促すなどの取組をしていますが、何よりもまず賃金を上げ、むしろ介護(保育、障害者介助)の公務員を増やすことも、国として真剣に検討すべきで、今後高齢化する世界にモデルを示すためにも、世界最先端の介護体制、介護雇用、医療体制を、コストをかけてでも、最も発達したモデルをつくるべきだと思います。
今の経済、利権優先の、疲弊した現場では、日本が世界的な高齢化社会を築いていくのは難しいと思います。
賃金、技術、ロボ、IT技術含め、介護予防、高齢者の人権が尊重される社会の実現に向けて、世界最先端のモデルをつくってほしいです。とすれば、先の本のような、欧米の先進的介護事情をよく知り取り入れてく、それをさらに技術、制度的に発展させていく必要があります。
経済成長型でなく、安定的に維持し、不安定要因を避けることに投資することが国家の地盤、安定成長になると思います。
私は、国が人を疲弊させるのでなく、老いも若きも男も女も、弱者もそうでないものも、人権を持つ人間としてしっかり生きられるように取り組んでほしいと思います。きれいごとでなく、欧州では被介護者にも人絹があるというのは当たり前です。
国、官僚、政治家、専門家も、新しい価値を見出す方向に取り組んでもらいたいと思います。
話を肺炎に戻しますが、私は、高齢者が肺炎や今回のコロナも含めて、高齢者の死亡者が異常に、恒常的に出続けるなら、「高齢者のことだから自分は関係ない」と思わずに、本当に適切な医療措置がなされているのかを国民が注視してほしいと思います。
「肺炎だから、高齢者がなくなるのは仕方がない」ととらえるのでなく、同じ国民のこととして、高齢者にも当然、人権があるという当たり前の措置が行われているかに留意してほしいと思います。
1,2018年東京健安研センター年報
http://www.tokyo-eiken.go.jp/files/archive/issue/kenkyunenpo/nenpou69/69-33.pdf
下記データなどでは、
人口動態統計からみた日本における肺炎による死亡について
2,肺炎死亡率が増加、急減した理由
https://www.m3.com/open/clinical/news/article/673323/
3,日本の肺炎にまつわる6つの事実
超高齢社会で求められる対応とは-Vol. 1
https://www.m3.com/open/clinical/news/article/525684/
この記事は、政治経済を担当している、A.Cによるものです。
下記リンクなどによりますと、日本における肺炎死亡者数に占める65歳以上の高齢者の割合は96.8%という報告があり、近年のグラフを見ても、肺炎が高齢者の死因として増加傾向です。
特に、下記の(2018年東京健安研センター年報 P273~p274)を見ると、日本とアメリカでは、肺炎の死亡率が上昇している傾向があり、誤嚥性肺炎について、他の先進国に比して日本のみが誤嚥性肺炎の年齢調整死亡率が急増しています。(p274 「2,誤嚥性肺炎」のグラフ)
このレポートは、今後の人口動態、日本の高齢者のケアを考える上で重要だと考えます。
1,2018年東京健安研センター年報
http://www.tokyo-eiken.go.jp/files/archive/issue/kenkyunenpo/nenpou69/69-33.pdf
また、これらの肺炎は、青森、大阪、山口、鹿児島は一貫して平均死亡率が高く、佐賀は徐々に高くなっているとのことです。
日本呼吸器学会が2017年4月に発表したガイドラインでは、誤嚥性肺炎などの肺炎の治療に関して、積極的な治療を行わず、緩和ケアだけを行うケースも生じることになる。このようなケースが多く生じるようになれば、人口動態統計にも影響を及ぼすことが考えられる。肺炎や誤嚥性肺炎による死亡者の今後の動向を注視していく必要があろう。(p276)としています。
上記ガイドラインは、アメリカで提唱されたHCAPという肺炎ケアの判断基準と連関していますが、日本もこれに基づき2011年から医療・介護関連肺炎ガイドライン(NHCAP)を改定し、肺炎の強力な治療が時に必ずしも有益でないことをふまえ、本人や家族の判断を尊重するという方向に変わっています。
私は、日本とアメリカが、他の先進国に比して、肺炎による死亡率が上がっていることと、日米のこのケアをとっていることに関係があるのか、よく調べる必要があると考えます。
先の年報では、誤嚥性肺炎の死亡を減少させるための手段として、「口腔のケア」や「口腔機能訓練」の重要性が指摘されており、これら手段の活用により誤嚥性肺炎による死亡者の減少が期待される。今後の死亡動向を観測し、これらの有効性を評価していくことも重要であろうとしています。(p275)
また、肺炎球菌ワクチンについても、2014年10月から、肺炎球菌ワクチンが高齢者を対象とした定期接種となった。このワクチン接種の費用対効果を検討していく際には、現在観測されている死亡率の減少を十分考慮し分析する必要があるだろうとしています。(p275)
私は、下記リンク2などのように、ここまで高齢者の肺炎死亡が増大しているのを、単なる高齢者の増や病名記載の変更が原因とするのは、考えにくいと思いますが、いずれにせよ、(特に誤嚥性)肺炎による高齢者の死亡が増加傾向にありますので、「口腔のケア」や「口腔機能訓練」可能な予防策が打つべきですし、普段介護現場で誤嚥対策、予防策、ケアがしっかり行われているか、留意する必要があると思います。
治療を投げ出さない、老化だからしかたないという風潮にならないように。
今の高齢者肺炎死亡の増加動向がどうなっていくのか、多くの人が注目して対応していく必要があると思います。
具体には、介護・医療現場で、現場のマニュアル含め、誤嚥性肺炎が生じないようちゃんとケアされるようになっているか留意していく必要があると思います。
また、これは一般人ができる方法として、飲み込む力を鍛えるトレーニングは、医学的にも有効とのことです。
下記のようなトレーニングの普及と、介護、医療現場では、口腔ケアなど誤嚥性肺炎を防ぐ体制をしっかりつくることが大切です。
下記はトレーニング法です。
早い段階でのど力をつければ、寿命に差がつく(10年延びる)と下記本では書いています。
死を招く誤嚥性肺炎を防ぐ のみ込む力を鍛えるトレーニング法
1~10を毎日1セット行う。それも難しい人は1~4だけでもOK。できる人は毎食前に1セット行うと効果的。
https://kaigo.news-postseven.com/5520/2
書籍
「肺炎がいやなら、のどを鍛えなさい」西山耕一郎著
緩和ケアに移行する風潮があるとすれば、介護現場が、人員不足、賃金不足で、疲弊している可能性もあると思います。
日本の介護は、まだ賃金が安く、介護人材が不足していますが、私はヨーロッパなども参考に、1万円の追加などではなく、介護報酬を制度的にあげることに本気で取り組むべきだと思います。
また、薬や点滴ありきで医療費が流れるのでなく、人に流れるようにしていく組み替えも必要だと思います。
点数ありきが、寝たきり、体を動かさせない、外に出さない介護につながっているからです。
体験ルポ 世界の高齢者福祉 山井 和則
今政府は、介護離職ゼロをめざし、介護の受け皿を増やす取組、介護人材の確保、ICTや介護ロボットの活用、介護分野へのシニア参入を促すなどの取組をしていますが、何よりもまず賃金を上げ、むしろ介護(保育、障害者介助)の公務員を増やすことも、国として真剣に検討すべきで、今後高齢化する世界にモデルを示すためにも、世界最先端の介護体制、介護雇用、医療体制を、コストをかけてでも、最も発達したモデルをつくるべきだと思います。
今の経済、利権優先の、疲弊した現場では、日本が世界的な高齢化社会を築いていくのは難しいと思います。
賃金、技術、ロボ、IT技術含め、介護予防、高齢者の人権が尊重される社会の実現に向けて、世界最先端のモデルをつくってほしいです。とすれば、先の本のような、欧米の先進的介護事情をよく知り取り入れてく、それをさらに技術、制度的に発展させていく必要があります。
経済成長型でなく、安定的に維持し、不安定要因を避けることに投資することが国家の地盤、安定成長になると思います。
私は、国が人を疲弊させるのでなく、老いも若きも男も女も、弱者もそうでないものも、人権を持つ人間としてしっかり生きられるように取り組んでほしいと思います。きれいごとでなく、欧州では被介護者にも人絹があるというのは当たり前です。
国、官僚、政治家、専門家も、新しい価値を見出す方向に取り組んでもらいたいと思います。
話を肺炎に戻しますが、私は、高齢者が肺炎や今回のコロナも含めて、高齢者の死亡者が異常に、恒常的に出続けるなら、「高齢者のことだから自分は関係ない」と思わずに、本当に適切な医療措置がなされているのかを国民が注視してほしいと思います。
「肺炎だから、高齢者がなくなるのは仕方がない」ととらえるのでなく、同じ国民のこととして、高齢者にも当然、人権があるという当たり前の措置が行われているかに留意してほしいと思います。
1,2018年東京健安研センター年報
http://www.tokyo-eiken.go.jp/files/archive/issue/kenkyunenpo/nenpou69/69-33.pdf
下記データなどでは、
人口動態統計からみた日本における肺炎による死亡について
2,肺炎死亡率が増加、急減した理由
https://www.m3.com/open/clinical/news/article/673323/
3,日本の肺炎にまつわる6つの事実
超高齢社会で求められる対応とは-Vol. 1
https://www.m3.com/open/clinical/news/article/525684/
この記事は、政治経済を担当している、A.Cによるものです。