アメリカの中東を巡る動きについて
- 2018/05/13
- 16:33
中東に関連して、はじめに、イスラム教のシーア派とスンニ派について、簡単に説明したいと思います。中東では、イスラム教のシーア派とスンニ派に教えの違いがあり、対立しています。シーア派は、イスラム教の最高指導者(カリフ)をイスラム教の開祖ムハンマドの血統にしか認めない派閥で、スンニ派は逆に血縁関係なくカリフを選出します。下記リンクでイメージしていただけたらと思います。イラン、イラクがシーア派の代表的な国...
中東に関連して、はじめに、イスラム教のシーア派とスンニ派について、簡単に説明したいと思います。
中東では、イスラム教のシーア派とスンニ派に教えの違いがあり、対立しています。
シーア派は、イスラム教の最高指導者(カリフ)をイスラム教の開祖ムハンマドの血統にしか認めない派閥で、スンニ派は逆に血縁関係なくカリフを選出します。
下記リンクでイメージしていただけたらと思います。イラン、イラクがシーア派の代表的な国(シリアのアサド政権はシーア派)で、スンニ派はサウジアラビアなどになります。
派閥図参照 https://www.sankei.com/west/photos/160218/wst1602180003-p1.html
下記は英語の地図ですが、重要で、
http://buckyardofssl.up.seesaa.net/image/sieahaberuto.jpg
シーア派の多い、レバノン、シリア、イラク、イランを経てペルシャ湾に至る、石油利権の大きい「シーア派ベルト」の利権を、アメリカやイスラエルが奪おうとし、サウジアラビアなどに武器を売り支援するため、これまで中東のシーア派とスンニ派の対立が深刻化してきました。
これに加えてヨーロッパ、ロシアの利権がからみ、対立しています。
そして本題に移りますが、特に、アメリカ、イスラエルは、これまでかなり意図的、強硬的に、中東イスラム圏に火種を撒き、武器を使用させ続けてきました。
ソ連包囲網をつくるため、ISやアルカイダを支援し、テロ組織をつくってきたのはアメリカです。
また、近年のシリアの戦争は、アメリカが、アルカイダやアル・ヌスラ戦線などテロ組織を反政府軍として動員することで起こっています。(ロシアに圧力をかけるために、作為的に紛争を起こしている面があります)
そして、シリアやトルコの政権転覆については、ぎりぎりのところで、ロシアの関与により防がれたところがあります。シリアやトルコの政権転覆が起こされていれば、中東の戦争は激化していた可能性があります。
その意味でも、オバマ大統領がシリア攻撃を踏みとどまり、緊張緩和に貢献したことは評価されるべきと考えます。
オバマ大統領は、任期中、キューバと国交回復し、中南米系の500万人にグリーンカードを与え、中南米諸国との融和を図りました。
加えて、ヒラリークリントンやスーザン・ライスらの、ネオコン派やイスラエルロビーの圧力に耐えながら、イスラエルのタカ派のネタニヤフ現大統領との迎合を避け、中東の緊張緩和に取り組みました。
オバマ政権は、その大きな成果として、2015年には、欧州など6カ国と、イランと核開発停止にかかる合意をしました。これは中東の核戦争回避策として、評価されるべきことです。アメリカがヨーロッパと連携した外交努力の成果です。(今後も発展させるべきです)
このイラン核合意により、15年間はイランは核開発ができず、IAEAは厳しく査察できるようになりました。
そうやってイランが各国と経済交流を深めながら、将来的にウランの濃縮技術、査察制限を取り除き、ミサイル開発規制をしていき、徐々に、イラクから核を抜いていけばよかったと思います。
しかし、トランプ大統領は去る4月8日、非核合意の離脱と、イランへの制裁再開を発表しました。
会談前に北朝鮮への圧力をかけるためともいわれますが、今これをすれば、逆に、北朝鮮を警戒させ、核譲歩を踏みとどまらせる可能性が高くなると考えます。オバマ前大統領、イギリスやドイツなど多くの国がこの合意離脱に反対しています。
一方で、軍産利権寄りのイスラエルやサウジアラビアは、イランの交易拡大を警戒し、非核合意破棄を歓迎しています。
ドイツ、フランス、ロシア、中国などがイランと交易したいと考えています。イスラエル、アメリカ主導で軍事行動するのでなく、ドイツ、フランス、ロシア、中国、アラブ諸国などが連携し、非核化、交易派勢力の発言力が強め、中東和平への流れを取り戻すことを願います。
今のトランプ政権のような自国だけ優先主義では、戦前のように貿易不均衡から各国の対立を招くことにもなりかねません。
欧米が中東の安定化のため力を合わせ、難民の発生を抑え、今度の経済にも対応すべきです。
トランプ大統領は、ぜひ、180日といわれる核合意の猶予期間の早いうちに、非核合意を復活、拡充、制裁解除の動きをとっていただきたいです。
圧力の危険性を知り、中東の安定化に協力すべきです。
アメリカは再びシリア空爆を行うとの情報もありますが、これは、中間選挙対策、ロシアとの権益争い、また、イスラエル、サウジアラビアに武器を売れば今後儲かるからという判断もあるとは思われます。
トランプ政権は、イスラエルの大使館移転問題、ユダヤ人の入植活動支援など、かなりイスラエル寄りの政策を展開し、それが中東の戦争を誘発しかねない状況があります。(選挙や利権のためと思われますが、ロシアや中東諸国を刺激するのは慎むべきです。。)
トランプ政権が、イスラエル寄りで危険な動きをとるのは、トランプ政権自体が、娘婿のクシュナー氏含め、反アラブ、タカ派のイスラエル首相ネタニヤフと親しく、イスラエル米大使デイヴィッド・フリードマンが強硬なシオニスト(反アラブ主義)であることも影響しています。(要するに、利権、選挙対策です)
トランプ氏が、民主党の巻き返しに厳しい対応を迫られる中で、米国で力を持つユダヤ人やそれを支持するキリスト教福音派(アメリカに5000万人もいます)の力を使いたい事情があると言われます。
しかし、これまでの政権でユダヤとパレスチナのバランスを取り、「二国間共存」を目指してきたアメリカの方針を変えるべきではありません。
シオニスト(アラブ人排除主義)によるアラブ人への武力行使、殺害、人権無視のやり方で、中東の問題が解決するはずなく、本当に、大きな戦争にさえつながり、テロや各国の混乱が各国に広がり収拾がつかなくなる可能性があります。数十年来の多くの人の和平の努力を反故にすべきではありません。
イスラエルは、これまで武力や権力を背景に、パレスチナ人(アラブ系)の人々を追い出し、ガザ地区でも有刺鉄線で囲い、物資や電気も来ず、刑務所のように人権無視のひどい扱いをしてきましたが、これによるアラブ人の不満、恨みをアメリカ国内の選挙問題として考えるのではなく、異民族にも配慮し、時間をかけ、冷遇を解除していくべきです。
これにヨーロッパ先進国、中東諸国など各国が力を合わせるべきです。(結局中東の紛争は、難民やテロを世界に広げることになります。日本も他人事ではありません。各国の経済や交易を阻害します。世界大戦になりやすい環境を招きます。)
各国とも,他人事と考えず、和合に努力すべきです。
特にアメリカにはそういう世界のリーダー国としての責任感もつことで、大きな安定が保てます。
(第二次大戦前、アメリカはこれに失敗し、日本やドイツの戦争を招きました。)
第1次、第2次世界大戦は、各国が他国の問題を放置したためにおこっています。
経済の安定、無関心・問題の放置をやめ、力を合わせる。
自国優先主義、中東、欧州、ユーラシア大陸の安定に力を合わせるべきです。
どうか各国、世論とも一時、一国の混乱であきらめず、沈静化に向けて努力してほしいと思います。
参考記事
ロシア「調査妨害」非難 化学兵器「でっち上げに英関与」
東京新聞2018年4月14日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201804/CK2018041402000249.html
トランプ大統領、イラン核合意離脱を表明 制裁再開、中東情勢緊張へ
産経新聞 2018.5.9
https://www.sankei.com/world/news/180509/wor1805090007-n1.html
オバマ氏、核合意離脱「大きな間違い」トランプ氏を批判
2018年5月9日朝日新聞
https://www.asahi.com/articles/ASL5925BCL59UHBI007.html
ガザ地区関連
「トランプ時代」の中東はどうなる
http://seichi-no-kodomo.org/2017/02/23/blog-170225/
イスラエルにおけるパレスチナ人(アラブ人)居住区の図
http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2018051502000067.html
下記リンクの、ガザ地区、ヨルダン川東部地区がアラブ人居住地区になります。
イスラエルは、かつてアラブ人が住んでいたこの領土を奪い、現在も冷遇されています。
このイスラエルにアメリカが加担し空爆などしています。
この記事はA.Cによるものです。
中東では、イスラム教のシーア派とスンニ派に教えの違いがあり、対立しています。
シーア派は、イスラム教の最高指導者(カリフ)をイスラム教の開祖ムハンマドの血統にしか認めない派閥で、スンニ派は逆に血縁関係なくカリフを選出します。
下記リンクでイメージしていただけたらと思います。イラン、イラクがシーア派の代表的な国(シリアのアサド政権はシーア派)で、スンニ派はサウジアラビアなどになります。
派閥図参照 https://www.sankei.com/west/photos/160218/wst1602180003-p1.html
下記は英語の地図ですが、重要で、
http://buckyardofssl.up.seesaa.net/image/sieahaberuto.jpg
シーア派の多い、レバノン、シリア、イラク、イランを経てペルシャ湾に至る、石油利権の大きい「シーア派ベルト」の利権を、アメリカやイスラエルが奪おうとし、サウジアラビアなどに武器を売り支援するため、これまで中東のシーア派とスンニ派の対立が深刻化してきました。
これに加えてヨーロッパ、ロシアの利権がからみ、対立しています。
そして本題に移りますが、特に、アメリカ、イスラエルは、これまでかなり意図的、強硬的に、中東イスラム圏に火種を撒き、武器を使用させ続けてきました。
ソ連包囲網をつくるため、ISやアルカイダを支援し、テロ組織をつくってきたのはアメリカです。
また、近年のシリアの戦争は、アメリカが、アルカイダやアル・ヌスラ戦線などテロ組織を反政府軍として動員することで起こっています。(ロシアに圧力をかけるために、作為的に紛争を起こしている面があります)
そして、シリアやトルコの政権転覆については、ぎりぎりのところで、ロシアの関与により防がれたところがあります。シリアやトルコの政権転覆が起こされていれば、中東の戦争は激化していた可能性があります。
その意味でも、オバマ大統領がシリア攻撃を踏みとどまり、緊張緩和に貢献したことは評価されるべきと考えます。
オバマ大統領は、任期中、キューバと国交回復し、中南米系の500万人にグリーンカードを与え、中南米諸国との融和を図りました。
加えて、ヒラリークリントンやスーザン・ライスらの、ネオコン派やイスラエルロビーの圧力に耐えながら、イスラエルのタカ派のネタニヤフ現大統領との迎合を避け、中東の緊張緩和に取り組みました。
オバマ政権は、その大きな成果として、2015年には、欧州など6カ国と、イランと核開発停止にかかる合意をしました。これは中東の核戦争回避策として、評価されるべきことです。アメリカがヨーロッパと連携した外交努力の成果です。(今後も発展させるべきです)
このイラン核合意により、15年間はイランは核開発ができず、IAEAは厳しく査察できるようになりました。
そうやってイランが各国と経済交流を深めながら、将来的にウランの濃縮技術、査察制限を取り除き、ミサイル開発規制をしていき、徐々に、イラクから核を抜いていけばよかったと思います。
しかし、トランプ大統領は去る4月8日、非核合意の離脱と、イランへの制裁再開を発表しました。
会談前に北朝鮮への圧力をかけるためともいわれますが、今これをすれば、逆に、北朝鮮を警戒させ、核譲歩を踏みとどまらせる可能性が高くなると考えます。オバマ前大統領、イギリスやドイツなど多くの国がこの合意離脱に反対しています。
一方で、軍産利権寄りのイスラエルやサウジアラビアは、イランの交易拡大を警戒し、非核合意破棄を歓迎しています。
ドイツ、フランス、ロシア、中国などがイランと交易したいと考えています。イスラエル、アメリカ主導で軍事行動するのでなく、ドイツ、フランス、ロシア、中国、アラブ諸国などが連携し、非核化、交易派勢力の発言力が強め、中東和平への流れを取り戻すことを願います。
今のトランプ政権のような自国だけ優先主義では、戦前のように貿易不均衡から各国の対立を招くことにもなりかねません。
欧米が中東の安定化のため力を合わせ、難民の発生を抑え、今度の経済にも対応すべきです。
トランプ大統領は、ぜひ、180日といわれる核合意の猶予期間の早いうちに、非核合意を復活、拡充、制裁解除の動きをとっていただきたいです。
圧力の危険性を知り、中東の安定化に協力すべきです。
アメリカは再びシリア空爆を行うとの情報もありますが、これは、中間選挙対策、ロシアとの権益争い、また、イスラエル、サウジアラビアに武器を売れば今後儲かるからという判断もあるとは思われます。
トランプ政権は、イスラエルの大使館移転問題、ユダヤ人の入植活動支援など、かなりイスラエル寄りの政策を展開し、それが中東の戦争を誘発しかねない状況があります。(選挙や利権のためと思われますが、ロシアや中東諸国を刺激するのは慎むべきです。。)
トランプ政権が、イスラエル寄りで危険な動きをとるのは、トランプ政権自体が、娘婿のクシュナー氏含め、反アラブ、タカ派のイスラエル首相ネタニヤフと親しく、イスラエル米大使デイヴィッド・フリードマンが強硬なシオニスト(反アラブ主義)であることも影響しています。(要するに、利権、選挙対策です)
トランプ氏が、民主党の巻き返しに厳しい対応を迫られる中で、米国で力を持つユダヤ人やそれを支持するキリスト教福音派(アメリカに5000万人もいます)の力を使いたい事情があると言われます。
しかし、これまでの政権でユダヤとパレスチナのバランスを取り、「二国間共存」を目指してきたアメリカの方針を変えるべきではありません。
シオニスト(アラブ人排除主義)によるアラブ人への武力行使、殺害、人権無視のやり方で、中東の問題が解決するはずなく、本当に、大きな戦争にさえつながり、テロや各国の混乱が各国に広がり収拾がつかなくなる可能性があります。数十年来の多くの人の和平の努力を反故にすべきではありません。
イスラエルは、これまで武力や権力を背景に、パレスチナ人(アラブ系)の人々を追い出し、ガザ地区でも有刺鉄線で囲い、物資や電気も来ず、刑務所のように人権無視のひどい扱いをしてきましたが、これによるアラブ人の不満、恨みをアメリカ国内の選挙問題として考えるのではなく、異民族にも配慮し、時間をかけ、冷遇を解除していくべきです。
これにヨーロッパ先進国、中東諸国など各国が力を合わせるべきです。(結局中東の紛争は、難民やテロを世界に広げることになります。日本も他人事ではありません。各国の経済や交易を阻害します。世界大戦になりやすい環境を招きます。)
各国とも,他人事と考えず、和合に努力すべきです。
特にアメリカにはそういう世界のリーダー国としての責任感もつことで、大きな安定が保てます。
(第二次大戦前、アメリカはこれに失敗し、日本やドイツの戦争を招きました。)
第1次、第2次世界大戦は、各国が他国の問題を放置したためにおこっています。
経済の安定、無関心・問題の放置をやめ、力を合わせる。
自国優先主義、中東、欧州、ユーラシア大陸の安定に力を合わせるべきです。
どうか各国、世論とも一時、一国の混乱であきらめず、沈静化に向けて努力してほしいと思います。
参考記事
ロシア「調査妨害」非難 化学兵器「でっち上げに英関与」
東京新聞2018年4月14日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201804/CK2018041402000249.html
トランプ大統領、イラン核合意離脱を表明 制裁再開、中東情勢緊張へ
産経新聞 2018.5.9
https://www.sankei.com/world/news/180509/wor1805090007-n1.html
オバマ氏、核合意離脱「大きな間違い」トランプ氏を批判
2018年5月9日朝日新聞
https://www.asahi.com/articles/ASL5925BCL59UHBI007.html
ガザ地区関連
「トランプ時代」の中東はどうなる
http://seichi-no-kodomo.org/2017/02/23/blog-170225/
イスラエルにおけるパレスチナ人(アラブ人)居住区の図
http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2018051502000067.html
下記リンクの、ガザ地区、ヨルダン川東部地区がアラブ人居住地区になります。
イスラエルは、かつてアラブ人が住んでいたこの領土を奪い、現在も冷遇されています。
このイスラエルにアメリカが加担し空爆などしています。
この記事はA.Cによるものです。